オーボエのレッスン生募集
講師:萩森幸子、萩森弥郁夫
場所:株式会社ルボア(新宿)
料金:¥5,400(60分)1回限りから月1~2回の継続まで
内容:基礎奏法、リード、リペア等(初心者、社会人、音大受験生等)
日時:営業日11:00~19:00
予約方法:TEL、メール
オーボエで音楽しよう!
はじめに
音楽についての記述は誤解を生みやすく間違った記述も多々あります。そのため本来は控えるものです。しかしながらオーボエを吹かれている方すべてが専門的な勉強をしているわけではありません。ましてや学校の先輩に習ったり独学の方も多く「演奏表現に参考になる資料はないのか?」という問い合わせを頂戴しています。その要望にお答えするため一般的で入門的な内容を掲載しております。株式会社ルボア 萩森弥郁夫
音楽は音を使って伝える側と聞く側の感性(感情)が同調した時に生まれます。感性(感情)は人生勉強で得るもので、楽器の練習だけでは身に付きません。音楽には決め事が限りなくありますが、あたかも「自分自身の音楽として演奏」することも大切です。音楽(表現)は緊張と緩和をイメージすることで聞く人の感性に訴えかけます。緊張は大きい音、無音(間)、脈拍よりも速いテンポで作られ、緩和は静かな音、連続音(スラー)、脈拍よりも遅いテンポによって形成されます。そして、具体的に思い浮かべたイメージは体(体重移動)で表現します
目次(音楽表現の順番、音楽表現について)
1.一つの音符で表現しよう!
2.リズム(拍子)とテンポ(速度)
3.メロディ(単音旋律)
4.ピッチ&音程
5.和音、音の決まり
6.個性的な取り組み
7.総合芸術[21世紀]
8.音楽の基本は歌!
9.創造力、読解力、技術力を養おう!
10.曲の取り組み方。作品と時代による演奏法
11.西洋音楽の調性
12.音楽的な奏法
13.音楽用語
14.速度記号
15.表情記号・音楽用語
表現する順(歴史的に進化した順番)
1.一つの音符で表現しよう!
人類が誕生したときにはすでに自然の音が存在していましたが、その頃は単音ないしは数個の音だけで感情やコミュニケーション手段として用いられていたと考えられています。音は始め(音出し
to)と伸ばし(継続 ー)と終わり(音止め n)の3つで出来ています
オーボエの息の調節(呼吸と口の動きとリードの関係)
種類:呼吸(息の変化):アンブシュアとリード(息の調節)
始め(音出し)
押す:膨らませるように増やす:リードを口の中から押し出すように
引く:意識的に安定:リード口の奥にスッと引き込む
強く(f):多く:リードに舌を硬く当てて離す
弱く(p):少なく:リードに舌を軽く当てて離す
伸ばし(継続)
加速音:量を少なく速度を上げる:口を緊張させてリードの開きを狭く
減速音:速度を落として量を多く:口を緩めてリードの開きを元に
増音:量を徐々に多く:口を徐々に緩める
減音:量を徐々に少なく:口を徐々に緊張させる
終わり(音止め)句読点
一時停止「、」:量を少なくdim.:高めに継続
静かに終止「。」:量を少なくdim.:口を緊張させてリードの開きを閉じる
一時停止 「、」:腹で力強く押す:高めに継続
力強く終止「。」:腹で力強く押す:口を緩め息を沢山入れ直後に開きを閉じる
2.リズム(拍子)とテンポ(速度)
人類が共同で住み始めた紀元前(四大文明)では宗教的、通信手段、戦闘合図にリズムを用い、リズムに合うテンポが生まれ、それに複数音の連続を用いていました。
・音楽の骨格である「リズムとテンポ」は相互に関係し、リズムからテンポが生まれます。そして、テンポが決まればさらにリズミカルになり、相乗効果が生まれます。
・リズムは発音(アクセント)と音の形(長さ、強さ)を使って音楽を形成します。特に舞曲(ワルツ等)は独特の拍子とアクセントがあります。どんな音にもリズムがあります。音を出す前にリズムを感じることが大切です。そして、同じ音形が続いてもリズムが感じられます。
・リズムの基本は二拍子、三拍子、四拍子です。変拍子も3つの組み合わせで出来ています。(例、五拍子は二拍子と三拍子の組み合わせ)リズムを壊す手段として三連符(二連符)やタイ(音符を繋ぐ)が用いられます。タイの場合は繋がっている音の最初が強調され途中はたとえ小節をまたいでいても音を押したり拍子をカウントしてはいけません
・テンポは大きく生活速度と人為的速度に分かれます。生活速度は基本がアンダンテ(四分音符=72)急ぎの速度はアレグロ(144)くつろぎの速度は(ラルゴ36)になります。人為的速度は1秒(四分音符=60)が基本で行進(120)、人間の限界速(180)になります。この6つの速度を身につければテンポで困ることはありません。
・楽譜の調子の主音又は吹きやすい音でリズムだけを感じて吹いてみよう!そして、リズムから最適なテンポを見つけよう!
練習方法
6つのテンポをメトロノームを使って覚えよう!太鼓を叩くようにリズムを取ります。大切なことは、音全てにテンポを感じることです。テンポは四分音符=72前後が基本(正確にはその人の脈拍)で四分音符=36、144の速度も練習しましょう!そして、四分音符=60、120、180のテンポも体に刻みましょう!重要なのは音を発する前にテンポを感じる事です。
・生活速度(人それぞれ)四分音符=36位:くつろぐ速度、72位:普段、歩く速度、144位:走る速度
・基準速度(共通速度)四分音符=60:時を刻む、120:周りに合わせる、180:人間の限界速度
リズムとテンポの練習
①ブレス(音を出す前)も音楽です。
ブレスでタクト(アウフタクト)、リズム、テンポ、ダイナミクスがわかるように
②発音(音の輪郭:硬い/柔らかい。鋭い/鈍い等)で曲想が変わります。
③音にアクセント(強弱)をくわえよう!音楽には3つのアクセントが用いられます。
第一アクセント:特に強調したいときに用います。アクセント記号が付いています。
第二アクセント:フレーズや小節の頭に用い、大げさにならない程度に強調します。
弱アクセント:前後の音よりもわずかに強調します。
④各音の切り方を考えよう!
音を(長め/音価通り/短め)(跳ね上げる/丁寧に置く)(音を押す/音を抜く)
3.メロディ(単音旋律)
ギリシャ、ローマ時代に入るとメロディ付きの詩や歌詞が歌われるようになります。
音のつながり(スラー)、音のまとまり(フレーズ)、各音の役割(アクセント)
練習方法
メロディ(アクセントとフレーズ)を「to、―、n」を使って歌ってみよう!
次にアクセントをくわえよう(アクセントなしも大切)
*音楽のアクセントは3つあります。(accent)
第一アクセント :(強調)「>」「∧」(アクセント記号)
第二アクセント :(小節やフレーズの頭など)「・」(スタッカート記号)
弱アクセント :(前後の音よりもわずかに強調)
4.ピッチ&音程
中世、ルネッサンスといった1200年から1600年の間に音楽の様式が生まれました。この時代はピッチの異なる音の組み合わせ音楽が生まれ、音程(スケール)という概念が生まれました。また、この頃に五線譜が生まれ、現在のクラシック音楽の基礎が出来ました。
クラシック音楽の基礎
・リズムとテンポ
リズムは拍を不均等に。たとえば、表示されている音符(音価)はテンポや曲によって倍の長さの音価(または 半分の音価)も感じなければなりません。また、民俗音楽(舞曲)などは強拍の位置や音の長さが変化します。
・フレーズ
まずは2音を繋げるスラーで細かくフレーズを分けて考えてください。ロマン派(19世紀)以降の作品は出来る だけ長くフレーズを繋げて切れ目の少ない表現が盛んになります。(無限旋律)
・ダイナミクス
バロック時代はfが主役でした。特に早いパッセージや低音は力強く、長い音符は花が開くように瞬間的に膨らみ そして花がしぼむようなダイナミクスにします。
・アーティキュレーション
速い曲は短く弾むようなタンギングで遅い曲は2音のスラーで、2音目をやや短く切るイメージで演奏します。 (曲や時代で大きく変わります)
・装飾
作曲家やその国のスタイル、時代や流行で変化します。たとえば、ヴィヴァルディやアルビノーニなどのイタリ ア作曲家やヘンデルは装飾を多用しますが、バッハはトリルを除き、忠実に演奏することを要求しています。
5.音の決まり(和音)
バロック、古典、ロマン派と言われた1600年から1900年代は歴史的に最も重要で、現在のクラシック音楽が確立した時期で、音楽の基礎や音楽記号の他に伴奏が生まれ複数音(和音)によるクラヴィアやオーケストラでの演奏が活発になりました。
楽譜を読もう(楽譜には情報が沢山)
楽譜を読む前に辞書、音楽辞典を用意しよう!楽譜は最低限しか表示されていません。楽譜の中には作曲された当時の常識や「音楽家なら当然知っているよね!」といった内容がほとんど書かれていません。これが演奏者を悩ませるのです。
①長い時間眺める。とにかく眺める。飽きても眺める
②題名、作曲者、曲の骨格や時代背景、様式を調べよう!
③意味の解らない言葉や記号を調べよう!
④曲を最後まで目で追ってみよう!
⑤曲の雰囲気をリズムとテンポから読み取ろう!
⑥各、楽章やフレーズ、各音の役所を把握しよう!
⑦旋律(メロディ、オブリガード)、伴奏(通奏低音)、各音(和音、イ音、逸音、装飾音等)を追ってみよう
⑧装飾(トリル、トリラー、ターン、ダイナミクス、ヴィブラート等)を読み取ろう!(装飾はその時代の常識と して、表記していないことも多くあります)
⑨自分なりの演奏を組み立てよう!
6.個性的な取り組み
大きな戦争が終結した頃から民族、種族を中心としたまとまりと近代化(電気)の波が音楽に影響し、大編成&大音量、個性や民族重視、電子音楽、ステレオ、CD時代に入り良い音(音色)という要素が強くなった時代です。
・音色
オーボエの表現力はピアノやヴァイオリン等とは比較になりません。そのため、オーボエ奏者は音色で表現力を 補おうとします。しかし、個性=音色には問題があります。それは魅力的な音色に固執すると、楽器の性能や表 現力を落とすことになるからです。音色はバランスを崩すことで魅力的になりますが、それだけだとすぐに飽き られてしまいます。また、音色重視の演奏はオーバーブロー奏法に陥るため、音ムラ(特定の音がつぶれます) や響かない(オーバーブロー奏法は低い倍音が聞こえなくなります)原因になり、ピッチや音程にも影響します あくまで音色は付いてくるものと考えて基本的なテクニックを磨きましょう!
・ダイナミクス
フルートやクラリネットのダイナミクスレンジが広がったために、オーボエも同様の要求をされています。さし 当たって、できる方法はppはブレスコントロール(呼吸法)を鍛える、ffはリードの開きやリードの張り(腰) を強くするしか対処方法はありません。特に音色に固執するとダイナミクスレンジは狭くなります。
・ヴィブラート
現代の表現方法で最も重視されているのがヴィブラートです。木管楽器のヴィブラートが人為的にかけられるよ うになったのが1910年頃と言われています。バロック時代もヴィブラートは用いられていましたが、その頃は音 の抑揚や表現にプラスされる装飾でした。現在、広く用いられているヴィブラートは、音が突っ張るために他の テクニックが併用できない欠点があります。音量でかけるヴィブラートは、ダイナミクスと併用できますが、音 程でかけるヴィブラートは多用すると「面白くない」演奏になるので注意してください。
・間の取り方(ブレス)
休符も大切な音楽です。特に日本人が好むのが「間」です。「間」の使い方で表聴衆を「引き込んだり」「ほっ とさせたり」という表現力が増します。そのため、「間」(休符、ブレス位置、GP等)は音符と同様に大切に扱 いましょう!
7.総合芸術[21世紀]
21世紀は音だけで表現するには限界を感じる時代です。音以外の演出、たとえば演奏場所、服装、環境、時間、曲目なども必要とされています。
音楽表現について
8.音楽の基本は歌
音楽の基本は歌うことです。たとえ、演奏技術が優れていても吹き手の感性や感情、想いが乏しくては音楽を表現することは出来ません。オーボエの演奏は自分の声と思って歌ってください。音楽は練習も大切ですが、さまざまな音楽(文化)に接し、想像力を働かせ、西洋音楽の何たるかを肌で感じることが大切です。まず、楽譜に書かれていない最低限の約束事を勉強しましょう!そのために演奏会に足繁く通って音楽に親しみ、音楽や欧米の歴史の書物を沢山読みましょう。演奏会ではミスを指摘したり、音色等の批判ばかりしないで、演奏者の想いや優れた音楽を感じましょう!音楽は言葉です。アクセントや句読点、抑揚を感じてください。特に、句読点(ブレス等)を間違えると意味が通じなくなります。また、欧米語は初頭に決定語(アクセント)がある長めの文章(フレーズ)が多いので、日本語的発想だと語尾が強く短い文章(フレーズ)で区切る演奏に陥りやすいので注意して下さい。
9.創造力、読解力、技術力を養おう!
音楽は「創造力」「読解力」「技術力」によって表現されます。「創造力」人間性を高め個性や知力を磨くことで養います。「読解力」楽譜中の記号や決まりを正しく理解し、その中でどれだけ表現するかが大切です[*1]楽譜は現代曲を除けば五線と音符と記号及び短い文で構成され、それらには多くの意味が含まれていて理解力により優れた演奏が可能です。「技術力」楽器を操るテクニックで創造力と読解力で得られた音楽を正確に楽器(声)に伝達するための力です
[*1]楽譜の冒頭の速度及び表現記号は曲全体の性格を表し、様式や表情、速度、意図等が書かれています。
・表示記号では長い説明文や題材がある場合はあらすじを理解してから取り組みましょう。音楽は「リズム(テンポ)」です。速度記号は作曲された時代や解釈によって異なるのでテンポ設定が重要です。 ・速度記号は目安と考えてよいのですが作曲者により厳格に指定された作品は遵守して下さい。 ・表情記号は楽章やフレ-ズの頭に書かれていて、その部分を強調及び変化させたいカ所に書かれています。 ・五線は音の高さ(周波数)と小節(時間)に区分けされ、音符は音の高さと長さを表し付属記号は発音や長さ、音量等の変化を要求しています。 ・フレーズ(複数音)にある記号は音の繋がりや規則だった音列、変化させる記号です。 ・尚、演奏は必ずしも楽譜通りであることが良い演奏(感動を生む)ではありません。
10.曲の取り組み方。作品と時代による演奏法
楽器を持たないで楽譜(ピアノ譜、スコア)に書かれているテンポとリズムを手や足を使って作品の骨格を理解します。テンポが変わればリズムや音形も変化し、リズムが決まればテンポも自然に決まってきます。次に調子、そしてフレーズの中の音符の長さや役目(倚音、前打音、導音等)、動き(装飾音やアーティキュレーション、ダイナミクス等)を読み取ってから音の高さ(ピッチや音程)を見ます。さらに楽譜という設計図をよく理解してから音色やヴィブラートを考えましょう。音楽的に未熟な人は音色、ダイナミクス、ヴィブラートだけで表現しようとします。オーボエのソロ曲はバロック時代(後期バロック時代)、古典時代、ロマン派、近代&現代に分かれます。どの時代の演奏法もバロック時代の決まりや当時の常識(習慣)が基本になります。尚、現代曲では該当しない作品もあります。通常、オーボエでよく演奏される曲では特に19世紀を境に演奏の違いがはっきり別れています。点と点を結ぶような繊細な作品の多いバロック音楽からロマン派に移ると楽器の編成が大きく、壮大なフレーズの流れが豊かな水量を誇るドナウ川やライン川をイメージした作品が多くなります。
11.西洋音楽の調性
楽譜は長調、短調で曲想が大きく変わりますが、調性でも雰囲気が変わり調号が少ないと現実的でパワーを感じさせますが下手に聞こえやすくなります。逆に調号が多くなると非現実的で神秘的になり複雑で深い音楽に感じます♭系は暗いイメージで行動的な調性になり、#系は明るく喜びや愛を表現しています。尚、短調の場合は同じ音を主音とする長調と性格が似ているため、必ずしも調性や調号の数による性格は当てはまりません。同主調は性格が正反対になることが多いようです。
(調号) 長調 / 短調 :特性
(* )C-dur/ a-moll:軍隊的。自然力。勝利。男性的。敗北
(b)F-dur / d-moll:外向的。行動的。喜び。哀愁。
(bb)Bb-dur / g-moll :自由。単純化。嫉妬。自然な暗さ
(bbb)Eb-dur / c-moll :英雄的。創造力。落ち着き。落ち込み
(bbbb)Ab-dur / f -moll :不明確。深み。悲劇的。悲愴感
(bbbbb) Db-dur / b-moll :神秘的な音楽。どんよりとした雰囲気
(#)G-dur / e-moll :太陽。発展的。自然の風景。悲しい歌
(##)D-dur / h-moll :バランス。素直な明るさ。悲哀感
(###)A-dur / f#-moll :喜び。華やかな色彩。悲劇的。悲愴感
(####)E-dur / c#-moll :愛。豊満な響き。慈悲。失恋
(#####)H-dur / g#-moll :精神的な深さ。複雑な調。内向的
(######)F#-dur/ d#-moll :女性的。人間を超えた音楽。夢。複雑
12.音楽的な奏法
・フレーズはスラーや同形の連続、メロディでまとめられた複数音の集まりで音楽を形成しています。特に19世紀 以降の作品は切れ目のない音楽(フレーズ感)が多く、息の微妙な流れが重要になってきます。
・アーティキュレーションは欠かせない表現方法で曲の雰囲気や流れが決まります。特に音の切り方はテンポ、リ ズム、そして次の音形を決定します。
・ダイナミクスは純粋、錯覚、音色の方法があり、純粋ダイナミクスは音量の違いによる方法で、fは息の量を増や して大きく吹き、pは息の量を減らして小さく吹きます。錯覚ダイナミクスは、pで吹いた直後に、mfで吹くと、 fに感じるように錯覚を利用した方法です。音色ダイナミクスは明るくて力強い音で吹くと大きく、静かな優しい 音色で吹くと小さめに感じさせる一つのトリックです。
・タ-ン(回音)はS字の反転で横置き又は縦の記号でさまざまな演奏法が決められていますが、音符と音符の間 を取り持つ装飾音としての演奏がほとんどです。
・休符は単に音の切れ目だけでなく「間」として大切です。さらに、演奏者にとって息継ぎであり、聴衆にとって は「一息つく」なくてはならないものです。休符はテンポ感やリズム感を生むためにも不可欠で、使い方次第で 聴衆を引きつけることが出来ます。
・トリルはその音を半音又は全音高く交互に素早く繰り返す方法で19世紀までの音楽では厳格な奏法が決められて いて、トリル音の始まりは音符の長さや前後の音の関係に応じて上または下からかけたり、ゆっくりしたトリル から始まったりします。トリラー(プラルトリル)は表示された音の前に半音又は全音上げて戻す装飾音でその 音の長さ(音価)の中で素早く行ないます。モルデントは半音又は全音下げて戻します。
・倚音は前打音と区別がつきにくく、楽譜上にも「この音は倚音です」とは表示されていません。倚音は調和音を より強調させる不協和音で音楽を躍動させる働きをします。前打音は通常小さな音符で表示されていますが、通 常の大きさで書かれている場合もあります。19世紀以前の曲は厳格に奏法が決められていますが、それ以降はそ の音を強調させるような装飾的な奏法が用いられています。先取音、逸音など音符は他にも数多くの役目を持っ ています。本格的にべ饗するには音楽辞典で調べてください。
13.音楽用語
楽譜の読み方、表示記号(音楽の教科書や楽典、メソードに書かれていますので参照してください)
現代曲の用語等は専門書を参照してください。表示記号は曲のタイトルや各楽章に表記されていて作品の形式や演奏様式を説明したものです。(以下は一例です)
Bacchanal :酒神の祭り、酒宴の歌
Ballade:叙事的な詩につけられた歌曲
Bourre:フランスの舞曲。2拍子系でアウフタクトから始まる
Canon:14世紀から17世紀世紀によく作られた輪唱
Cantata:バロック時代の物語風テキストによる多楽章の曲
Canzone:イタリアの世俗的な小歌曲
Chaconne:スペインに起こった3拍子の古い舞曲
Concerto:協奏曲。急-暖-急の3楽章からなる器楽曲
Elegy:悲歌。悲しい歌または器楽の小品
Farandole:フランス南部の民族舞踊6/8拍子
Fuga:主題が規律的な模倣反復で調的法則を守る楽曲形式
Gavotte:古典舞曲4/4拍子第3拍から始まる
Gigue:イギリスで発生した3拍子系の速い舞曲
Habanera:キューバのゆるやかな2拍子系の舞曲。タンゴ系
Manbo:キューバの民族音楽
Menuett:フランス上流社会の典雅な舞踊音楽。3/4拍子
March:通常3部形式(途中トリオが入る)の行進曲
Metamorphose:変奏曲を含めて主題の自由な変化を指す
Nocturne:夜想曲。夢想曲。主にピアノ曲が多い
Overture:序曲。オペラやオラトリオの前の導入的な器楽曲
Pastorale:牧歌的なのどかな気分を持つ器楽曲
Pavane:スペイン舞曲。孔雀の踊りの意味。ゆるやかな2拍子
Polonaise:ポーランドの民族的な舞曲3/4拍子
Prelude:前奏曲。儀式、組曲等の前に演奏する器楽曲
Rhapsody:狂詩曲。民族的性格の自由な幻想曲
Romance:感傷的な歌曲。歌曲のような性格を持つ器楽曲
Samba:ブラジルの民族音楽。2/4拍子。アクセントに特徴
Sarabande:スペインの舞曲。3拍子。緩やかで威厳がある
Siciliano:シチリア島の舞曲。6/8拍子の素朴なリズム
Sonata:暖急交互の4楽章の形式と続くことが多い。
Suite:古典組曲は舞曲。近代組曲は相違する楽曲の連続
Symphony:交響曲。4楽章からなる管弦楽の為のソナタ
Symphony Cocertante:交響曲風に構成された曲
Symphony Poem:交響詩。文学等を表題。単一楽章の管弦楽曲
Variation:変奏曲。テーマをさまざまに変えて演奏
Vocalise:歌詞を伴わない独唱曲
Waltz:円舞曲。3/4拍子の優雅なオーストリアの舞曲
14.速度記号
速度記号(言葉)は普段の人の生活速度と同じでその時代の交通手段や思想、流行によって速度は変化しています現在はある程度の速度が数字によって決められていますが、必ずしも数字の速度が正しいとは限りません。 全ては曲想で判断するしかありません。
遅い
Largo [40-60]:揺らぎのテンポ。落ち着いて
Larghetto [60-66]:ラルゴよりやや速く
Adagio [66-76]:緩やかに、遅く。
Grave:重々しく、悲しげにおごそかに
Lento:緩やかに
Maestoso:威厳を持ってゆうゆうと急がず
中庸
Andate [76-108]:散歩速度、自然な進行。
Andantino:アンダンテよりやや速く
Modrato [108-120] :快活。速すぎず遅すぎず
中間
Vivo:活発に、早く
Animoso:英知と活気を持って
速い
Allegro Modrato:アレグロより軽く生き生きと
Allegretto:快く、魅力的。楽しい
Allegro [120-168] :活気、急ぎ、緊張
Vivace:活発に
Presto [168-200] :早急に、競争。
Prestissimo [200-208] :きわめて速く。
加速
acclerando:段々速く
Poco a poco animato:しだいに活気を付けて
Stringendo[string]:だんだんせきこんで
Piu allegro:より快速に
Piu animato:より元気に、速く
Piu mosso:いっそう躍動して
un poco animato:少し活気を付けて
減速
rallentando:だんだん緩やかに
Ritardando[rit.]:だんだん遅く
meno mosso:一層緩やかに
piu lento:一層緩やかに
ritenuto:すぐに遅く
戻す
a tempo:以前のテンポに
Tenpo primo[Tenpo1] :最初の速度
緩急
ad lib.:自由に
Rubato:自由な速さで変奏
15.表情記号・音楽用語
音楽は楽章やフレーズの頭に表示された表情記号(言葉)から演奏方法が決まります。これらの記号は主に演奏方法を説明したもので表記によって速度や音楽が決まります。
affetuso:印象的に感動的に
agitato:激して、急速に
alla marcia:行進曲風に
amabile:快い、甘い、魅力的で滑らか
amorso:愛らしく
a piacre:任意に
arioso:Ariaのように。歌うように
assai:非常に
brillante:華やかに
cantabile:歌うように
comodo:気楽に
con allegrezza:快活に
con amore:愛情をもって
con anima:活気をもって
con brio:生き生きと、華やかに
con moto:動きをつけて早目に
crescendo:増す。連続音は音量を増し続ける
da capo[D.C.]:最初から。曲を始めから繰り返して演奏
dalsegno[D.S.]:繰り返し記号から繰り返して演奏
decrescendo:音量を減らしていく
dolce:柔和に。快い、甘い、魅力的で滑らか
espressvo:表情豊かに
forte[f]:大きな音で力強く
grendioso:壮大に、堂々と
maestoso:荘厳に
ma non troppo:あまりはなはだしくなく
menom:より少なく。例 meno mosso
mezzo:mfは半分の力。mpは半分の静かさ
molto:非常に。例 adagio molto
pastorale:田園的、牧歌的
piano[p]:静かに。piu piano[pp]はより弱く
piu:もっと。例 piu mosso
poco:少し
poco a poco:少しずつ、だんだんと
scherzando:戯れるように
semple:常に、絶えず
simile:同様に