オーボエ、ファゴット調整&修理

修理者(萩森弥郁夫 M.Hagimori)2012新宿区「技の名匠」、2014東京都優秀技能者(東京マイスター)オーボエ、ファゴットの修理を承ります。今までに300名以上の国内外のプロ奏者、7万本を超えるオーボエ、 ファゴット修理の経験と知識でご満足いただける調整・修理をお約束いたします。

・修理受付:要予約(お電話、メール)

・料金:基本料金5,400円+部品交換

・修理期間:当日仕上がり。午前中持ち込み夕方仕上がり可。時間がかかる修理は2~7日間)        

・修理楽器:ご購入先不問(何処でお買いになった楽器でも大丈夫です)       

・宅配:当日または翌日発送(到着時間や定休日を挟む場合、また宅配業者の都合により、ご希望に添えない場合がございます。まずはお電話でご相談ください。

            

修理料金表(税抜き料金)

基本は当日仕上がり(1~2時間)

・全体調整¥5,400  

・全体調整(音程、音色調整含)¥10,800

・ボディ修理(管体割れ等)¥3,240~

・キーメカニズム¥3,240~

・部品交換@¥2,160~

・予算内¥16,200~54,000(お預かり)

・刃砥ぎ(ナイフ、マシン)¥1,080~ 

・リードマシン調整¥5,400~(お預かり)

 

 

 

 

    画:大滝雄久氏

オーボエ、ファゴットの応急修理

オーボエ応急修理(トラブル要因)

 オーボエの部品や名称を覚え、何処に問題が起こりやすいかを予め知っておくと原因追及のヒントになります。

・ボディはローズウッド系やグレナディラ等の硬い材質(比重1.1-1.35)で出来ています。オーボエの上管の内径 は最小部分が直径4mmと細く、それよりも大きい棒を入れないで下さい。                 

・トーンホールは音を変える穴で表面が山状なのでクリーニングペーパー紙で強くこすらないで下さい。内側は水 や埃が溜まりやすく、1年に一度はクリーニングに出してください。                   

・ボディは上管、下管、ベルに分かれ、ジョイントの金属は重要な働きをします。              

・トップジョイントレシ-バ-はリ-ドの抜き差しによる摩耗を防ぎますが、長年使用すると磨耗してリードがぐ らついて鳴りにくくなります。                                    

・オクタ-ヴホ-ルは傘の形をした穴の細い金属(0.6-0.8mm)で水つまりの原因になります。        

・ジョイントコルクは各ジョイントをつなげる役目をしますが、磨耗するとぐらついて音が出にくくなります。 

・ベルリングは音ぼけを防ぐためですが低音の響きを柔らかくするためベルリングのない楽器が多くなりました。

・キ-メカニズムは○○と音名で呼ばれ、指で直接押さえるタンポ付のキーを「○○キー」、指で触れる木の葉状 のキーを「○○レバ-」、直接押えず、レバーもないタンポ付きのキーを「○○カップ」、キー同士を接続する 「連絡キー」があります。                                      

・ポストはボディに直接固定されている丸い支柱で、中央部に穴が開いていてニードルスプリングが取り付けられ ています。                                             

・オ-ボエにはネジが沢山付いていて取り付けネジはボディにキ-を直接取り付けるためのネジ、シャフトはポス トにキ-を取り付ける細長い棒ネジ、剣ネジはポストにキ-を取り付ける先の尖った短いネジ、調節ネジはキ- とキ-の連動を調節する短いネジ、小ネジは二重構造のキ-用のネジ(下管lowH-LowBキー等)、板バネネジは 板バネを取り付けるための小さなネジがそれぞれ付いています。                     

・スプリング(バネ)はニードルスプリング(針バネ)とフラットスプリング(板バネ)があり、ニードルスプリ ングはポストに、フラットスプリングはキ-の裏側に取り付けられていて、材質は先が尖っている鋼が多く銅色 のベリリム銅や銀色のステンレス鋼が使われています。また、長さと太さと曲げの大きさで強さが異なります。

・キ-コルクは金属音を消すためでコルクや皮が用いられています。また、音消しを必要としないプラスチック付 ネジもあります。                                          

・タンポはコルクタンポやスキンタンポ(白又は黄色)、皮タンポ(白い皮)、合成タンポ(シリコンや樹脂)が ありコルクタンポは反応が早く音は硬くなり耐久性に優れています。スキンタンポは音の反応が適度で扱いやす く調整も狂いにくい素材です。皮タンポは反応を優しく押さえる効果があり主に低音域に用いられます。


オーボエ応急修理 トラブルの原因と探し方
*トラブルには6つの要素があります。原因を探すにはよく観察することです。

[1]奏法、[2]リード、[3]楽器、[4]奏法と楽器、[5]奏法とリード、[6]楽器とリード

・突然鳴らなくなった        [3、2]

・以前より吹きにくい(息が入らない)[2、3]

・全体の音程(ピッチ)がおかしい  [1、5、4、2、3]

・特定の音程(ピッチ)がおかしい  [2、3、5、6]

・全く音が出ない、特定の音から出ない[3]

*トラブルの主な原因
・ネジが飛び出している(緩んでいる)

・調節ネジが勝ってに回る

・ジョイントがぐらついている(入らない)

・バネが外れている。折れている。弱っている

・キーが曲がっている(タンポがずれて合わなくなっている)

・キーが動かない。(オイル切れ、ごみ、錆)

・タンポが落ちてなくなっている、破れている、膨らんでいる

・タンポとトーンホールの隙間に埃やクリーニングペーパーが引っかかっている

・ボディの上管が割れている

・キーの調整が狂っている

・内径やトーンホールにごみが溜まっている(掃除方法が原因)


オーボエ応急修理 「緊急事態」
 楽器が故障する原因は不注意によるもの、環境、消耗が原因です。楽器がおかしい場合は「突然音が出ない」 「最近悪い、時々悪くなる」に分かれ、前者は突発的な事故なので短時間で直りますが後者は部品劣化や摩耗が原 因なので時間がかかります。

*楽器が突然おかしくなる主な原因
・楽器の組み立てがリ-ドの取り外し等で知らないうちにずれている

・ト-ンホ-ルとタンポの間にゴミが引っかかっている

・内管にハネやスワブが詰めてしまった

・楽器を落としたり(ケ-スごとも含む)、楽器を組み立てる時にキ-を曲げた

・どこかにキ-をぶつけて曲げたり、ポストが曲がってキ-の動きが鈍い

・タンポがくっついて動きにくい場合やタンポやキ-コルクが取れた

・水分や発汗によりネジにサビが発生している

・管体が割れた(環境の悪い場所や急激な変化の中で吹くと管体がワレてしまいます)

*楽器の鳴りが落ちてきた。音程が取りづらくなってる。(早めに修理に出しましょう!)
・自転車の荷台に乗せて運んでいたり、汗ばんだ手で吹いている

・楽器を置く向きが違う

・楽器が古い。又はメンテナンスを行なっていない。又、内管にゴミが蓄積している

・キ-コルクがすり減っていてタンポの開きが大きくなっている

・キ-の摩耗により指を強く押さえないと鳴らない

オーボエ応急修理 「さあ困った?」
オ-ボエは部品の劣化や環境の変化で音が出なくなります。その対処方法を知っておくと急な場合に安心ですが出来るだけ修理者に任せたほうが賢明です。

*特定の音が出ない(出にくい)症状と主な解決方法
・全部の音が出ない   :内径に物が詰まっている、閉まるべきキーが開いている

・全部の音が出難い   :管体の割れ、上管のタンポが合っていない

・高音の一部だけ出る  :オクターヴキーやトリルキーが塞がっていない

・音がオクターヴ高くなる:第1か第2オクターヴキーが塞がっていない

・オクターヴ上が出ない :オクターヴホールに水かごみが詰まっている

・HighE以上が出ない  :第3オクターヴキーの開きを変える。掃除する

・HighC#、Dが出ない  :Hキーの開きかハーフホールの形状を変える

・中音C#、D、Ebが出ない:Hキーのハーフホールの形状を変える

・中音Hから下が出ない  :ネジ調整かタンポ、ジョイントがずれている

・Aから下が出ない    :ネジ調整かタンポに問題

・G#が出ない      :キーが作動しない(バネ折れ、錆、ボディの乾燥)

・Gから下が出ない    :ネジ調整かタンポに問題

・F#から下が出ない    :ネジ調整かタンポに問題

・フォークFが詰まる   :吹き方かリードの相性、新品楽器

・Eから下の音が出ない  :ネジ調整(厳密な調整が必要)

・Dから下の音が出ない  :ネジ調整

・LowCの音が出ない   :リードが厚い、ネジ調整(厳密な調整が必要)

・LowH、Bが出ない    :ネジ調整(よく狂います)

・ピッチ(音程)が悪い :全体のバランス不良。キーの開きの不具合など

*特定の音のピッチが悪い
・全体的に       :ネジ調整とオープンのキーの開きを調節します

・HighEb以上      :運指を変えます

・HighC#、 D     :吹き方を工夫するかHキーの開き加減を調節する

・HighA-C        :第2オクターヴキーの開きを調節する

・中音E-G#       :吹き方、第1オクターヴキーの開きを調節する

・中音C#、D       :Hキーのハーフホールの形状を変える

・C、Bb          :ネジ調整

・H             :ネジ調整

・A            :キーの下のコルクの厚さで調整する

・G#           :特に吹き方で調整。ネジ調整

・G             :特に吹き方で調整。コルクでタンポの開きを変える

・F#           :ネジ調整、コルクでタンポの開きを変える

・F            :レバーの下のコルクの厚さでタンポの開きを変える

・フォークF        :ネジ調整。吹き込む

・Eb            :ネジ調整。コルクの厚みで調節

・D、C#          :LowCキー裏のS字のキーで調節(折れやすいので注意)

・LowC          :リード、LowH、Bのタンポの開きで調整

・LowH、B        :全てのオーボエは低く作られています

*雑音、共振、音抜け
・「ザー」音:新品楽器や穴を一つ飛ばして押さえるBやフォークFの場合に「ザー」という雑音が入ります。これは吹き込むうちに息の流れがスムーズになり解消されます。

・「シュー」音:振動しにくいリードや息を大量に押し込むように吹くと「シュー」という風切り音になります。この場合は吹き方で修正してください。特に中音のA、Bb、B(H)で発生します。

・「シャー」音:中音C#とDの場合はHキーのハーフホールの穴から「シャー」という大きな雑音がします。これは左手人差し指でハーフホールをわずかに空けるように調節しながら吹くと雑音はしなくなります。しかし、ピアノとフォルテで穴を塞ぐ量を調節しなければならないのでハーフホールをロウで小さく埋める方法も多くなりました。

・「ビ-」音:乾燥時期や大量の息を押し込む吹き方で発生します。また、大きいスキンタンポのキーやスプリングが弱い場合も共振しやすくなります。とりあえずはスキンタンポに少し水分を与えて防ぐことが出来ます。

*吹き方及びリードによるピッチ、音程の問題
・中音「ファ」が半音高い:リ-ドを深くくわえたり噛んだり、強く吹くとこのような症状が出ます。また、短いリ-ドや古いリ-ドも発生しやすくなります。中には楽器本体や調整によるものも少なくないので修理にしてください。

・G、G#がブルブル鳴る:ピッチを下げようと吹くと発生します。これはリ-ドの張りが足りない場合や、アンブシュアがしっかり固定されていないのが原因です。この場合は下唇にリードを強く押さえて吹くと安定します。

・ピッチが高い(低い):これは楽器か吹き方(主にアンブシュア)に原因があり、楽器に問題がある場合は調整に出します。吹き方ではピッチが高い場合は口の締めすぎ、低い場合は息の力不足が原因です。

・右手の親指が痛い:重量の重いオ-ボエは右手親指の負担も大きくなります。負担を軽減するには楽器のサムレスト部分にゴムやコルクを貼るか親指自体に皮や布を巻き付けて対処します。ただし、大げさにすると響きが悪くなります。

・G、Cがぶら下がる :軽いリ-ドやピッチの低いリ-ドはぶら下がりやすくなります。吹き方で直すには唇を締めすぎないで楽にピッチが取れるようにします。ディミネンドしながら徐々に唇を締めアンブシュアを浅くします


応急修理の方法
楽器は応急修理という概念はなく突発的故障により部品交換が出来ないときの修理を応急修理と呼んでいます。

・すぐにネジが緩んでくる:楽器を使っているうちに自然にネジが緩むことがあります。特に新しい楽器はネジを強く締めるとキーが動かなくなる箇所があります。ネジが緩んできた場合はご自身で閉めても問題はありません。コツは一杯に締めたら少し緩めて止めると良いでしょう。ただし、すぐに緩んでくるのでネジの頭(ドライバーの溝の部分)にマニキュアを塗って動かないようにするのも応急になります。ただし、調節ネジの場合は正しい位置に止めてからマニキュアを塗ってください。くれぐれも瞬間接着剤は使わないで下さい。問題が大きくなる危険性を含んでいます。

・キ-が動かない:キ-の曲り、シャフト(ネジ)の錆び、ポストが回転しているボディが乾燥して縮んだ等の原因で発生します。対処方法は該当するキ-のシャフトを半回転ほど緩めてかろうじて動く場所を探します。

・水がホ-ルに溜まる:楽器を吹いてすぐに水が溜まる場合は結露が原因で、温めて吹くしかありません。また、息が遅い、量を入れすぎ等でもトーンホールに水が溜まります。なるべく楽器の内側に水溜りが出来ないよう工夫する事と水が溜まる前に掃除をします。また、吹かない時の持ち方や置き方も注意してください。

・ケ-スごと落とした:落とした高さや床の材質でキ-の曲がりが変わります。多くはLowH、Bキ-がレバ-の所で接触することが多いようです。その場合はLowH(B)、Bbレバ-の間隔を開くようにゆっくり慎重に引っ張って直してください。

・楽器が転がった。倒した:楽器が転がったり倒した場所が問題で、道路や廊下等だと出っ張ったキ-メカニズムが曲がりやすいのでチェックしてください。曲がったキ-は転がった時に加わった力と反対の向きに同様の力を加えると直りますが、うまく行かないことが多いので最低限度でやめて修理に出してください。

・楽器全体が水に濡れた:速やかに濡れたカ所にティッシュを数枚巻き付け楽器ごと強く振ってキ-の裏側やボディに付いた水分を取ります。そして出来ればドライヤ-で乾かします。(熱量に気をつけて)水分が飛んだら必ずキ-オイルを注してください。大量に濡れた場合は速やかに修理に出してください。数日でネジやシャフトが錆びてキ-が動かなくなります。また、ジュ-ス類は糖分が悪さをしますので必ず修理に出してください。

・管体ワレ:管体のワレは突然発生し性能は低下します。ト-ンホ-ルがワレると音が出にくくなります。ワレの応急修理はト-ンホ-ルに入った場合だけにしてください。用意するものは瞬間接着剤と針、小さく丸めた紙(塞がったタンポを開けて固定するため)です。まず、ワレが入ったト-ンホ-ル付近のキ-を小さく丸めた紙でタンポを開けて固定します。次に、瞬間接着剤を少し出して先端の古くなった部分をテッシュにしみ込ませて捨てます。そして、瞬間接着剤を針の糸穴部に出し、そのまま落とさないようにワレた部分に当てて瞬間接着剤をボディにしみ込ませます。その時にト-ンホ-ルには直接付けないでください。表面張力で自然にト-ンホ-ルにしみ込みます。注意することは付けすぎず一度に大量に流さないことです。演奏会が終わったら速やかに修理に出してください。

・スワブが詰まった:誤ってスワブを詰めた場合(または詰めたかも?)は絶対に引っ張らないでください軽く引っ張った程度だと簡単に取れます。症状が軽い場合の取り方は近所のコンビニで串焼きに使う細長い竹の棒をリ-ドの差し込み口から楽器の内径の細い穴の真中を狙って押し込んでください。何かで軽く叩くと簡単に取れます。この部分はオ-ボエの生命線です。金属の棒や傷の付きそうなものでは絶対にやらないでください。楽器が駄目になります。竹串が届かない場合は2本の竹串をセロテ-プで繋ぎます。

・タンポが取れた:タンポが取れた場合はボンドやご飯粒で元の状態へ付けて10秒ほど押さえて固定します。難しいのは元の位置をタンポに付いたト-ンホ-ルの輪の後や接着剤の取れ具合から向きを見極めてください。

・ジョイントコルクの取れ:完全に取れていない場合は、細い糸でぐるぐるにコルクの上から巻きつけて固定してください。完全に取れてしまった場合は、紙を幅に合わせて細長く切って巻きつけてグリスで固めれば応急になります。

・スプリングが外れる:ニードルスプリングの曲げてある向きが悪いため、作動させるたびに外れてしまいます。その場合は、キーのパイプ部分に近くなるように(ボディに対して遠くなるように)引き上げるように曲げてください。スプリングがキーを動かすために曲がっている向きと、外れないように曲がっている向きがある考え方になります。

・バネが折れた:突然バネが折れたり、利かなくなったりした場合(付いていても根元から折れている事があります)は輪ゴムでカバ-します。輪ゴムを作動させたいキ-に絡め、輪ゴムの端を他のじゃまにならないキ-に引っかけてください。キ-が動かないのはバネが利かない、キ-の錆、キ-の曲がり、ポストが曲がった、ボディの乾燥、ほこり等が原因です。その原因を見つけてから修理します。

・バネが利かない場合:外れているか折れている場合で、ほとんどはバネが外れていたり反対にかかっている場合です。錆ているようだとオイルを注してキ-を何度も動かすしかありません。シャフトが錆びていると取れない事が多いので無理はしないでください。

・ポストが曲がった:元の向きになるようにペンチで直します。(傷が付かないようにペンチの挟む面にセロテ-プを張ります)直してもすぐに曲がってしまう場合は瞬間接着剤を針に付けてポストの根元に軽く注して固定してください。上管の頭の部分の第2オクターヴキーのポスト、C-Dtrキーのレバー(下管との接続部分のポスト)LowCレバーキーの付け根のポスト、LowC#レバーキーのバネがかかっているポストなどがよく回ってしまいキーが動かなくなります。

・長期間吹かなかった:楽器が乾燥して(縮んで)キーは動かなくなります。すぐに使わない場合は湿気の多い部屋(台所や風呂場の近く)で加湿ケ-ス等で湿気を与えてください。すぐ吹く場合はポストとキ-のパイプ部分との隙間を開けるようにプラスチックハンマ-でポストを叩いて隙間を開けます。その場合はポストを正確に叩くこととポストに傷を付けないようにすることが要求されます。

・キ-の動きが鈍い:ブラシできれいに表面のホコリやゴミを取り除き、キ-オイルをキ-の隙間に注して何度も作動させて黒くなったオイルをティッシュで拭き取ります。

 

ファゴット(バスーン)応急修理 トラブルになる要因


ファゴット(バスーン)の部品や名称を覚えたり、何処に問題が起きやすいか知っておくと原因が判ります。

・ボディはメープル(楓)で出来ています。楓(カエデ)は湿気を嫌う材質で、梅雨や夏時期はボディが膨張し、乾燥時期は収縮します。そのため、ジョイント部分を常に糸で調節しなければなりません。また、ブーツジョイントのU字管は掃除の際に必ずはずして掃除してください。なぜなら、日本はヨーロッパよりも湿気が多く、G#のトーンホールに黒カビが発生しやすく、ほうっておくと数ヶ月で腐ってしまう場合もあります。ファゴットの内径は最小部分が直径8㎜なのでスワブを通すときなど十分注意してください。

・ボディはテナージョイント、ブーツジョイント、ロングジョイント、ベルジョイントに分かれ、各ジョイントを糸で調節しています。5ピースモデルはロングジョイントとベルジョイントの間にもう一つジョイントがありますが、コンパクトにケースに収納できるようにベル側に繋げたままにします。               

・HighD、HighCホールやオクタ-ヴホ-ルは1.8~3㎜の細い穴になっているので定期的にキーをはずして掃除をしなければなりません。          

・ベルリングは音の拡散を防ぐ役目があるので割れていると交換しなければなりません。                      

・キ-メカニズムは○○と音名で呼ばれ、指で直接押さえるタンポ付のキーを「○○キー」、指で触れる木の葉状のキーを「○○レバ-」、直接押えずレバーもないタンポ付きのキーを「○○カップ」、キー同士を接続する「連絡キー」があります。                                         

・ポストはボディに直接固定されている丸い支柱で、中央部に穴が開いていてニードルスプリングが取り付けられています。

・ファゴットにはネジが沢山付いていて取り付けネジはボディにキ-を直接取り付けるためのネジ、シャフトはポストにキ-を取り付ける細長い棒ネジ、剣ネジはポストにキ-を取り付ける先の尖った短いネジ、調節ネジはキ-とキ-の連動を調節する短いネジ、板バネネジは板バネを取り付けるための小さなネジがそれぞれ付いています。

・スプリング(バネ)はニードルスプリング(針バネ)とフラットスプリング(板バネ)があり、ニードルスプリングはポストに、フラットスプリングはキ-の裏側に取り付けられていて、材質はステンレス鋼や鋼が使われています。また、長さと太さと曲げの大きさで強さが異なります。

・キ-コルクは金属音を消すためで、コルクや皮が用いられています。

・タンポは白色の柔らかい皮タンポ(パッド)が使われていて金属の小さいホールにはコルクタンポやゴムタンポが用いられています。



ファゴット応急修理 トラブル(故障)の原因と探し方
*トラブルには6つの要素があります。原因を探すにはよく観察することです。
[1]奏法
[2]リード
[3]ボーカル
[4]楽器
[5]奏法とリード
[6]楽器とリード

・突然鳴らなくなった        [4、2 ]

・以前より吹きにくい(息が入らない)[3、4、2 ]

・全体の音程(ピッチ)がおかしい  [1、5、4、3、2]

・特定の音程(ピッチ)がおかしい  [2、3、5、6 ]

・全く音が出ない、特定の音から出ない[4 ]

*故障の主な原因
・ジョイントがぐらついている(入らない)

・バネが外れている。折れている。弱っている

・キーが曲がっている(タンポがずれて合わなくなっている)

・キーが動かない。(オイル切れ、ごみ、錆)

・ボーカルにゴミが溜まっている

・キーとキーの間のコルクが取れている

・タンポが落ちてなくなっている、破れている、膨らんでいる

・ボディが乾燥してキーが動かない


ファゴット応急修理 「緊急事態」
楽器が故障する原因は不注意によるものか掃除(メンテナンス)がおろそかになっている場合がほとんどです。楽器がおかしい場合は「突然音が出ない」「最近悪い、時々悪くなる」に分かれ、前者は突発的な事故なので短時間で直りますが、後者は部品劣化や摩耗が原因なので時間がかかります。

*楽器が突然おかしくなる主な原因
・楽器の組み立てがリ-ドの取り外し等で知らないうちにずれている

・ト-ンホ-ルとタンポの間にゴミが引っかかっている

・ボーカルや楽器の内側にスワブを詰めてしまった

・楽器を落としたり(ケ-スごとも含む)、楽器を組み立てる時にキ-を曲げた

・どこかにキ-をぶつけて曲げたり、ポストが曲がってキ-の動きが鈍い

・タンポがくっついて動きにくい場合やタンポやキ-コルクが取れた

*楽器の鳴りが落ちてきた。音程が取りづらくなってる。(早めに修理に出しましょう!)
・掃除していない。掃除が雑

・取り扱いが雑、汗ばんだ手で吹いている

・楽器が古い。又はメンテナンスを行なっていない。又、内管にゴミが蓄積している

・キ-コルクがすり減っていてタンポの開きが大きくなっている

・キ-の摩耗により指を強く押さえないと鳴らない


ファゴット応急修理 「さあ困った?」
ファゴットは部品の劣化や環境の変化で音が出なくなります。その対処方法を知っておくと急な場合に安心ですが出来るだけ修理者に任せたほうが賢明です。

*特定の音が出ない(出にくい)症状と主な解決方法
・全部の音が出ない   :ボーカルにゴミが詰まっている、割れている

・全部の音が出難い   :テナー&ブーツジョイントのC#やBのタンポが合っていない

・音がオクターヴ高くなる:テナー&ブーツジョイントのタンポが合っていない

・オクターヴ上が出ない :ボーカルのピアニシモホールが詰まっている

・HighC以上が出ない   :HighC、HighDのホールが詰まっている

*特定の音のピッチが悪い
・全体的に       :オープンのカップの開きを調節します

・A           :キーのコルクの厚さでAカップの開きを調整する

・G#          :G#カップをキーコルクの厚みで調整

・G、F#、F、      :吹き方で調節。コルクでカップの開きを変える

・LowD         :吹き方で調節

*雑音、共振、音抜け
・「ザー」音:新品楽器や穴を一つ飛ばして押さえるEbなど「ザー」という雑音が入ります。これは吹き込むうちに息の流れがスムーズになり解消されます。

・「シュー」音:振動しにくいリードや息を大量に押し込むように吹くと「シュー」という風切り音になります。特に中音のC、D、Eで発生するので吹き方で修正します。

・「ビ-」音:キーとガードなどが接触して起きるノイズです。音の出ている部分を注意深く観察して見つけてください。金属同士の間にセロテープや紙を挟むと解決します。

*吹き方及びリードによるピッチ、音程の問題
・左手がきつい。支えられない:ファゴットは左手の負担が大きいので、ストラップやバランサーなので軽減してください。姿勢で解決するには楽器を立てるように構えると左手の負担は少なくなります。

・ピッチが高い:多くのファゴット奏者がピッチが高くて困っています。原因はアンブシュアにあり、下唇にリードを押し当てて吹くとピッチは高くなります。この方法は高い音へ移る場合は有効ですが高い音から低い音に移るにはピッチがうわずったままで下がりません。この場合は上唇にリードを押し当てて吹くと、ピッチは大きく下がります。もう一つの問題は、響きよりも音色を追い求めるとピッチはうわずります。リードの振動を感じながら豊かな響きを目指してください。


応急修理の方法
楽器に応急修理と言う概念はなく突発的な故障の場合に部品交換が出来ないときの修理を応急修理と呼んでいます

・キ-が動かない:キ-の曲り、シャフト(ネジ)の錆び、ポストが回転しているボディが乾燥して縮んだ等の原因で発生します。対処方法は該当するキ-のシャフトを半回転ほど緩めてかろうじて動く場所を探します。

・水がホ-ルに溜まる:楽器を吹いてすぐに水が溜まる場合は楽器の構え方に問題があります。水が出るトーンホールを真下にならないように楽器の向きを微妙にずらして構えす。また、楽器を立てるようにするのも水漏れを防ぐのに効果的です。

・楽器が転がった。倒した:楽器が転がったり倒した場所が問題で、道路や廊下等だと出っ張ったキ-メカニズムが曲がりやすいのでチェックしてください。曲がったキ-は転がった時に加わった力と反対の向きに同様の力を加えると直りますが、うまく行かないことが多いので最低限度でやめて修理に出してください。

・楽器全体が水に濡れた:速やかに濡れたカ所にティッシュを数枚巻き付け楽器ごと強く振ってキ-の裏側やボディに付いた水分を取ります。そして出来ればドライヤ-で乾かします。(熱量に気をつけて)水分が飛んだら必ずキ-オイルを注してください。大量に濡れた場合は速やかに修理に出してください。数日でネジやシャフトが錆びてキ-が動かなくなります。また、ジュ-ス類は糖分が悪さをしますので必ず修理に出してください。

・スワブが詰まった:誤ってスワブを詰めた場合(または詰めたかも?)は絶対に引っ張らないでください軽く引っ張った程度だと簡単に取れます。症状が軽い場合の取り方は近所のコンビニで串焼きに使う細長い竹の棒の尖った部分を折り、リ-ドの差し込み口から楽器の内径の細い穴の真中を狙って押し込んでください。弱い場合は2本を束にして同様に押し込んでください。詰まったスワブまで届かない場合は2本の竹串の先を折ってギザギザ同士を押し付けて、セロテープで止めて長くして使用してください。何かで軽く叩くと簡単に取れます。竹串が手に入らない場合は、長さが30㎝前後で直径7.5㎜以内の竹やプラスチックの棒を探してください。この部分はファゴットの生命線です。金属の棒や傷の付きそうなものでは絶対にやらないでください。

・タンポが取れた:タンポが取れた場合はボンドやご飯粒で元の状態へ付けて10秒ほど押さえて固定します。難しいのは元の位置をタンポに付いたト-ンホ-ルの輪の後や接着剤の取れ具合から向きを見極めてください。

・バネが折れた:突然バネが折れたり、利かなくなったりした場合(付いていても根元から折れている事があります)は輪ゴムでカバ-します。輪ゴムを作動させたいキ-に絡め、輪ゴムの端を他のじゃまにならないキ-に引っかけてください。キ-が動かないのはバネが利かない、キ-の錆、キ-の曲がり、ポストが曲がった、ボディの乾燥、ほこり等が原因です。その原因を見つけてから修理します。

・バネが利かない場合:外れているか折れている場合で、ほとんどはバネが外れていたり反対にかかっている場合です。錆ているようだとオイルを注してキ-を何度も動かすしかありません。シャフトが錆びていると取れない事が多いので無理はしないでください。

・ポストが曲がった:元の向きになるようにペンチで直します。(傷が付かないようにペンチの挟む面にセロテ-プを張ります)直してもすぐに曲がってしまう場合は瞬間接着剤を針に付けてポストの根元に軽く注して固定してください。

・長期間吹かなかった:楽器が乾燥して(縮んで)キーは動かなくなります。すぐに使わない場合は湿気の多い部屋(台所や風呂場の近く)で加湿ケ-ス等で湿気を与えてください。すぐ吹く場合はポストとキ-のパイプ部分との隙間を開けるようにプラスチックハンマ-でポストを叩いて隙間を開けます。その場合はポストを正確に叩くこととポストに傷を付けないようにすることが要求されます。

・キ-の動きが鈍い:ブラシできれいに表面のホコリやゴミを取り除き、キ-オイルをキ-の隙間に注して何度も作動させて黒くなったオイルをティッシュで拭き取ります。

・連絡棒が動かない:ブーツを貫通している連絡棒が動かない場合はボディが膨張したり連絡棒が曲がって動きが悪い場合です。その時は連絡棒を取り出し牛蒡の皮むきの要領でナイフやカッターで連絡棒を細くそぎ落とすように削ります。