OBメソード

オーボエ「楽しく吹こうよ!」

良い楽器(調整された楽器)を使って練習しよう!
無理せず吹きやすいリ-ドを使おう!
正しい吹き方を学ぼう!


[前書き]
近年、オ-ボエは目覚ましく進化し完成リ-ドも飛躍的に向上しました。しかし、奏法は個々の好みや各国の伝統的な奏法により明確にすることは多くの事柄が反論の対象になってしまいます。この本は迷わないで吹けるようにすることが目的で断定的な表現を用いていますが絶対的ではありません。尚、音楽様式や表現方法は導入に留めています。                                       萩森幸子

[目次]
 1.プロロ-グ 
 2.健康
 3.楽器  
 4.リ-ド
 5.姿勢 
 6.呼吸法  
 7.アンブシュア
 8.タンギング  
 9.音   
10.運指
11.音楽  
12.毎日の練習  

1.[この本の使い方]
*何事も最初の一歩が大切:悪い癖は直すのに3倍かかります。オ-ボエは一曲を最後まで通して吹けるようにしましょう!その際に「必ず出来る、うまく吹ける!」というイメ-ジを持つことが大切です。「失敗するかも」という気持ちが働くと同じカ所で間違えてしまいます。練習は自分のペ-スで吹き続けることです。そのために正しく調整された楽器と吹きやすいリ-ドを使いましょう。だれしも早く上手になりたいのですが基本を飛ばしてはいけません。吹き方に悪い癖が付くと直すのに3倍以上の時間と労力がかかります。上達は最初が肝心です焦らず取り組みましょう! 
*楽器を響かそう!&力の入れ具合:楽器演奏で難しいのは「身体を響かせる事と力の入れ具合」です。身体を響かせるにはリ-ドの振動を鼻腔で拡声し頭を振動させるのと、楽器に伝わった振動を指から身体へ共鳴させるのは不可欠です。また、身体のどこに力を入れ、どこの力を抜けばいいのかが難しいと思います。これは吹くために必要な「意識的に使う力」と身体が勝手に行う「無意識の力」が混同しているためです。演奏に必要な力の多くが無意識の力で、これを強くする為に意識的に力を入れて練習します。特に基礎奏法では脱力という言葉が用いられますが、脱力とは不要な力や意識的に使ってはいけない力、他の機能をじゃまする力を抜くという意味です。全ての力を抜くと吹けなくなってしまいます。

*暗譜のすすめ:「暗譜は恐くて間違えたらどうしよう?」と思っていませんか?それは間違いで、暗譜により楽譜を見る、内容を確認する作業が省かれるので余裕が出来ます。その余裕が良い演奏につながります。とはいえ暗譜は不安です。暗譜を恐がらないためには毎日暗譜して吹く訓練を続けることです。

*音楽と競争の矛盾について:音楽に競争はありませんが、現実は「だれがステ-ジに乗るか、1stはだれ?」等競争が生まれます。音楽は演奏基準がまちまちで、選ぶ方のレベルや教育上の配慮、好き嫌いといった人間関係が強く働きます。コンク-ルではなおさらです。音楽は自分との戦いです。まずは基本をしっかりマスタ-しましょう。気後れを感じる必要はありません。急がば回れの精神で着実に向上しましょう。

*オ-ボエの習い方:多くの方が顧問や先輩に習ったと思いますが、オ-ボエの先生に教わっているなら先生の指示を優先して下さい。そして、レッスンでは礼儀正しく時間厳守で約束事は守りましょう。良い先生は教わる方が嫌がる行動は慎み平等に扱ってくれ、楽器やリ-ド、吹き方を強要しないので相談しながら自分に合った吹き方を習得しましょう。

2.[健康をチェックしよう!]
*持病をお持ちの方は医師に相談して下さい
・空気が鼻に抜ける:音色を追求するあまり身体の限界を超えた息を使うと空気が鼻に抜けて音が出なくなる場合があります。その時はもっと楽なリ-ドに変え、強く息を押し込む吹き方はやめましょう。この症状が発生したときはとにかく無理をしない事です。ただし、アクセントやffで余分な息が鼻に抜けることはあります。

・顎が痛い、口を開くと痛い(顎関節症):無理なアンブシュアを続けると顎が痛くて口が開かなくなることがあります。これは顎や顔の筋肉に負担がかかり過ぎて起こるためで我慢できなくなったら休憩して下さい。

・息が苦しい:無理な吹き方や極限まで息を使うと貧血を起こすので注意しましょう。また、緊張の限界を超えるとパニックになり過呼吸(酸素を沢山補給しようとする急激な回数の呼吸)に陥ることがあります。そうなる前に冷静に浅く呼吸することが大切ですが、過呼吸に陥ったときはビニ-ル袋や紙袋を口と鼻に当てて酸素の少ない空気を落ち着くまで呼吸して下さい。オ-ボエの練習は息継ぎを多く無理をしない事が大切です。

・右手親指が痛い:オ-ボエは全ての指で楽器を支えなければなりませんがどうしても右手親指に頼りがちです。親指が変形するほど痛くなると腹の部分で支えようとするため楽器の持ち方が悪くなります。なるべく、全ての指で楽器を掴むように持ちましょう。

・指が痛くて動かなくなった(腱鞘炎):腕や指の姿勢が悪い状態で指を動かしたり楽器の状態が悪い場合と指が痛みで動かせなくなります。また、長時間の無理な練習も同様です。腱鞘炎は限界を超える前に何日間か休めば軽減できます。

・演奏前、演奏後は体操しよう!:演奏前は身体をほぐしましょう!効果的なのは運動選手が行なっている身体をねじる運動で、立った状態で片足をクロスしクロスした足と反対方向に両手を回すようにして身体を大きくねじります。体育座りで行なっても効果があります。また、演奏時に腰に負担がかかるので腰の筋肉もほぐしましょう。方法は腰をぐるぐる回したり、かかとを地面につけたまま「しゃがんで」背筋を伸ばします。

・どうして上がるのかな?:演奏会で「頭の中が真っ白」状態になった経験はありませんか?上がらないためには「思い通りに吹けた」イメ-ジを持つことが大切です。そして、本番2時間前までに軽く食事を取り(血圧を下げるために水やお茶、日本ソバが良いらしい?)横になって神経を安らげることも必要です。また、ゲンを担いだり脳天を人差指で強く押したり顔を拭くようになでたり、腕や手や指を擦ったり揉んだりして身体をリラックスさせると良いでしょう。

3.[オ-ボエの取り扱い]
・楽器の組立とオ-ボエの置き方:組み立て&分解は連絡部のキ-同士がぶつからないよう慎重に行なって下さい接合部がきつい場合はグリスをコルクになじませます。又、接合部の木が膨張して入らない場合は調整に出しましょう。オ-ボエの組立方は最初に左手で下管を持ち右手でベルの膨らみを持ちます。下管とベルを軽くつなぎキ-連絡の向きを確かめてからベルの出口をお腹に当てて下管をぐっと押しつけて接合します。キ-連絡が合っていない場合は左右にずらして調節します。分解は同様に持ち、ベルを左右に1cm程動かしながら徐々に抜きます。次に左手で上管、右手で下管&ベルを持ち軽くつなぎキ-連絡(3カ所)がきっちり合う向きにします。その後、ベルの出口をお腹に当てぐっとお腹に押しつけて接合します。最後にキ-同士の連絡が合っているか確認し、合っていない場合は左右にずらして調節します。分解は同様に持って下管&ベルを軽く左右に1cm程動かしながら抜きます。組み立てた状態で楽器を置く際は左手小指で押さえるLowH、Bキ-側が下になるように置きます。ドイツ製の楽器でFキ-がLowH、Bキ-側に付いている楽器は反対に置きます。又、置く際は必ずリ-ドを楽器から抜いて下さい。  

・リ-ドの差し込み方法:リ-ドの差し込み方は糸とコルクの間を持ち、第2オクタ-ヴキ-を目安にリ-ドの向きを調節しながら奥まで入れます。抜き方は回しながら引き抜きますが、指が滑る場合はティッシュやハンカチを挟んで抜き取ります。コルクがきつい場合はグリスを塗るか、唾液で滑らせてもOKです。

・オ-ボエの掃除、メンテナンス方法、キ-オイルの差し方:ハネでの掃除はハネの曲がっている部分をキ-の付いていない側に向けて管の中を太い方から通し、1度回したらそのまま抜き取ります。ドロップスワブは紐を管の太い方から通し、紐を引っ張って布が管の中にまで入ったら、入れた方から引っ張り出します。プッシュスワブは管の太い方から入れ、奥まで入れたらゆっくり回して抜き取ります。演奏後は指紋や汗をクロスでバネ類に注意して丁寧に拭きましょう!又、キ-は黒く変色するので磨き専用クロスで強く擦らない程度に磨いて下さい表面のほこりは毛脚の長いブラシできれいにします。キ-が黒ずんだり白くなる方は楽器を持つ前にまめに手を洗いましょう。1~3カ月に一度はキ-オイルを差しましょう!

・新品楽器の吹きはじめ。楽器のウォ-ミングアップ(水抜き):新品楽器は一週間は30分程度で徐々に長く吹いて下さい。馴染むまでは同じ場所で吹き、湿度や気温の低い場所やエアコンの側では吹かないで下さい。楽器は吹き手の育て方次第で良くも悪くもなります。くれぐれも楽器が「ぐれない」ように!オ-ボエは管体ワレを防ぐために楽器を常温に慣らし脇の下に楽器を隠すように入れて全体を温めます。いきなり管に息を吹き込むと割れる危険があります。表面が温まったら管内に息の熱を管に伝えるように静かに吹き込みます。水滴が溜った場合はまめに取り除き、リ-ドを差し込む前に強く吹き込んだり楽器を瞬間的に下に振って水滴を早く落として下さい。

4.[リ-ドについて]
・リ-ドが作れないとだめなの?:オ-ボエのリ-ド作りは後回しにして完成リ-ドを使いましょう。リ-ドは1本1本性能が異なるのでお気に入りリ-ドは大切に使いましょう。最初は6~7本を使い回し、2本は本番や合奏用で3本は日々の練習、残りの1~2本は慣らしリ-ドです。リ-ドの寿命は吹奏時間で決まり15~30時間ですが、数本を使い回すと寿命は長くなります。

・リ-ドの種類と選び方:初心者は「へなちょこリ-ド」からはじめましょう。リ-ドはクロ-でチェックしますクロ-とはリ-ドを深くくわえて強く吹いた時に出る「ビャ-」という音のことです。クローとはカラス(スケアクロー)の鳴き声に似ていることからこう呼ばれています(諸説あり)。クロ-が「ピ-」の場合は先端の開きを出し「ビャ-」だと良好で「ギャ-」の場合はリ-ドを押さえて平べったくします。クロ-が出たら「シ」の音を出してみましょう。その時、無理に「シ」を出してはいけません。リ-ドは自分に合わせることが大切で、自分に合ったリ-ドに調節します。「シ」よりも低い場合はリ-ドをつぶすように何度も押さえます。「シ」よりも高い場合は側面から押さえて先端の開きを大きくします。「シb~ド」が自由に出せるリ-ドが良いリ-ドです。尚、アメリカンタイプは全体に半音高くなります。完成リ-ドはピッチ、吹きやすさ発音を優先して選びましょう。一般に開きが大きいと重厚で暗い音色に感じ、開きが少ないと明るくて優しい音色になります。そして、先端の開きの形が菱形に近いと音は落ち着き、曲線だと明るく華やかになります。

・リ-ドの取り扱いについて:リ-ドは大切に扱いましょう。特に楽器に差し込む時や抜く時、指の確認の時に肩にぶつけないように注意して下さい。また、使用しない時は必ずリ-ドケ-スに保管してください。プラスチックケ-ス等に入れたままだとカビが発生します。リードは気温や湿度で日々変化し、雨の日はリードが重くなったり、冬は乾燥しすぎて吹きにくくなります。また、季節の変わり目は好みのリードがなかったり上手に作れない場合があります。リ-ドは適度な振動や舐める(舌の表面は細かいやすりと同じです)ことでなめらかになり10回程度の使用で馴染んできます。リ-ドの掃除は10日に一度は行ないましょう!目安は「リ-ドが鳴らない」とか「薄汚れてきたなあ」と感じた時です。

5.[基礎奏法 姿勢]
基本姿勢は「かかと、おしり、肩、頭」を壁にぴったり付けた姿勢が基本です。最初に足を肩幅に開き、つま先 同士を近くかかとを離すように「ハ」の字を作ります。すると壁から背中だけが離れる姿勢になります。
その状態で鼻から息を吸ってみましょう。脇腹から溝落ちにかけて膨らむように吸えますか?吸えるようになったら足を普通に戻します。次に肩を下げた状態で両手を合わせ、肘同士を「くっつける」ように前方に伸ばして肩幅を狭め頭が床から離れないように注意しながら顎を首に近づけます。その状態から徐々に楽器を持つ形を作ります。肘は出来るだけ高くするのがこつです。最後にお辞儀するように上半身を前方にやや傾けますが、頭が下がらないよう注意しましょう。

「かっこ良く美しい姿勢」は正座の姿勢に似て、背筋を伸ばし顎を引き肩を下げます。足は肩幅程度に開いて両足のつま先とかかと双方の間隔はほぼ同じで、片方の足を5cm引いて立ちます。さらに片方の足を真っ直伸ばし、もう片方は軽く添えるようにします。重心の割合は7:3程度が良いでしょう。両足が同時に曲がったり伸びた姿勢はかっこ悪くなります。座った姿勢は椅子下に足を入れたり、組んだり、前に伸ばしてはいけません。良い座り方は「スッ」と立てる座り方です。座り方のこつはまず深く座り、その位置で立てるかどうかチェックしながら徐々に浅く座ってちょうど良い所を探します。もし、椅子の高さが合わない場合は足下に台を置くか「ざぶとん」を敷いて調節して下さい。

オ-ボエの持ち方は右手親指でサムレストの部分を筒を握るように持ちます。リ-ドを差し込む際や移動、休憩等全ての動作の基本です。そして、管の中やト-ンホ-ルに水が溜まらないように、上管がベルよりも下がらないこととキ-が沢山付いている方を上にして持つようにいつも心がけましょう!

6.[基礎奏法 呼吸法]
・息の使い方:呼吸は口(又は口と鼻両方)で行ない、笑顔で呼吸しましょう。呼吸の練習は大げさにしますが演奏時は総肺活量の70~80%に押さえます。肺に一杯息を貯めると音がこわばってしまい、少ないと音になりません。息の使い方は溝落ちを中心に胸を広げます。まず溝落ちを親指で強く押さえ親指を押し返す筋肉を感じながら瞬間的に「うっ」と声を出して押し返します。次に親指で押したまま息を吸ったり吐いたりして溝落ち周辺の筋肉の動きを感じて下さい。最後に胸式呼吸をミックスさせましょう。こつはおなかを引っ込ませながら胸を前方に広げるように膨らませて吸い、腹式呼吸よりもやや上部が膨らむ感じで溝落ちから胸全体が膨らむように呼吸しましょう。

・息の流れと戻り、息継ぎ:息の流れを良くするにはリ-ドの一番細い部分に向かって針の穴に糸を通すような気持ちで吹くことです。息は強く吹くほど呼吸の支えも必要ですが無理に力を込めてはいけません。オ-ボエは一息で長時間吹けますが息継ぎでは古い息を吐き出してから新たに吸わなければならないので、息継ぎは出来るだけ早く「プハッ」と下品にならないように静かに行なわなければなりません。息を継ぐときはリ-ドを下唇又は上唇に当てた状態で口を開けて息を吸います。横から息継ぎはしません。オ-ボエの悪い吹き方に「音抜き」があります。音抜きとは音を後退させる奏法で跳躍等で「裏声」のように力を抜く奏法です。また「アンダ-ブロ-イング」は息の力不足でオクタ-ブ低い音が出たり不安定な音になる状態のことで、逆にリ-ドの限界を超えて息を押し込むと「そば鳴り」になります。

・アインザッツ、「間」:アインザッツは音出し前の予備動作で自分自身、回り、聴衆全てに合図する重要な動きです。アインザッツは必ず呼吸の動きと一体で動かすことが大切で、身体を丸くうつむきでしっかり吐き、息を吸いながら身体を起こし、最後に吹く角度で音を出します。呼吸とアインザッツは自然であることが不可欠で、吸ってから吹く瞬間までの「良い間」は吸った息が肺の奥に満ちて自然に吐きたいと感じた時です。「間」が早いと腹筋で強引に息を押すので荒い音になり、息を一端止めてから吹くと繊細な表現が出来なくなります。

・テンポとリズム。ダイナミクス:息の使い方で音楽のベ-スであるリズムやテンポは生まれます。テンポやリズムに合わせて息の使い方を工夫しましょう。また、息の使い方が変わればリズムやテンポも変わってきます。ダイナミクスを表現する際の息の使い方は大きな音ほどリラックスした沢山の息を必要とします。その時にピッチが変化しないように息の勢いを弱くします。小さい音は反対に身体をやや緊張させ息の勢いを速くした状態で息の量を押さえます。

・ヴィヴラ-トとゆらぎ:ヴィヴラ-トは音程を下げる戻すを1秒間に3~4回繰り返し、差は四分の一音程です。腹(横隔膜)ヴィヴラ-トは「オ-オ-オ-」と声を出した「-」の時に横隔膜(溝落ち)の緊張を和らげてピッチを下げます。喉ヴィヴラ-トは「ウ-」と声を出しながら喉を細く絞るイメ-ジで力を抜いて声にならない「ウッ」を「ウッウッウッ」と連続して行なう方法です。ただし、喉に力が入れ過ぎると「ちりめんヴィヴラ-ト」になります。表情(音色)ヴィヴラ-トは「歌う」のに有効で基本ピッチよりも高く揺らしますが「かけるのではなくかかる」と考えて下さい。ゆらぎ(スモルツア-ト)は音量を増やす戻すを1秒間に6~8回繰り返します。ゆらぎは「ウ-」と声を出しながら喉を細く絞って力を抜かないで声にならない「ウッ」を「ウッウッウッ」と連続して行ないます。


7.[基礎奏法 アンブシュア]
アンブシュアとは口や唇及び回りの筋肉等を意味します。アンブシュアはリ-ドを「噛む(固定する)/包む(ソフトに)、寄せる/引く、突き出す/巻き込む、くわえる角度」等によりリ-ドの振動を制御します。アンブシュアで注意することは唇の隙間から息が漏れないこと、ほっぺたを膨らませたり歯茎の隙間に空気を貯めないことです。アンブシュアは「リ-ドを噛む」「口を緊張させて固定する」方法があります。(アンブシュアの作り方)用意する物:太めのストロ-、定規

①最初にストロ-を平らにつぶして、先端から10mmの所で強く「ヘの字」に折り曲げます
②その折り目を下の歯に当てて噛んでストロ-がどのくらい口に入っているか舌先で覚えます
③その状態で唇を歯とストロ-の間に入れ口の形を「ウ」にします
④次に「ウ」からストロ-を丸く戻すような「モ」に変化させます
⑤唇を巻いて「イ」からストロ-を唇越しに噛んで口奥に入れます。同様にリードで試してみましょう
⑥リ-ドは口中に下唇から8~10mm、上唇からはそれよりも2mm深く入るようにくわえます
⑦「ウ」から頬が痩けたような「モ」に唇を横一杯に引っ張った「イ」に動けるようにしましょう

・柔軟性のある唇を目指そう!:アンブシュアは柔軟性が必要です。唇を緊張させ強く噛んで吹くと音は華やかで明るくなり、包み込むようにリ-ドをくわえると音は柔らかくなります。高音域を吹くにはリ-ドを深めに低音域を吹くには浅めにくわえます。リ-ドのくわえ方はリ-ドだけで(シ)の音が出る位置「ウ」から唇を「イ」の形に引くことで高音域(ド)を唇を「モ」の形に突き出して低音域(シb)を吹きます。さらに高音域は貧弱になりやすいので顎を下げ楽器の角度を上げぎみの姿勢で上顎の空間を広げます。低音域を豊かにするには下顎を引いて下顎の空間を広げるように楽器の角度を下げて吹きます。

・どうして口が疲れるの?:オ-ボエは細い穴に高圧な息を入れて吹くため、アンブシュアが耐えられなくなって吹けなくなります。ばてを防ぐには吹き心地の軽いリ-ドを用いることです長時間吹けるようになるには我慢できる範囲で少しずつ長く吹くよう続けることです。我慢とはコントロ-ル出来る範囲で、無理をすると悪い癖につながりますまた、ガムを噛んだり食事の際によく噛むことでも訓練になります。口の疲れを回復させるには休憩が一番です。

8.[基礎奏法 タンギング]発音&止音
・音出しは必ずタンギングしますが、これは音の区切りだけでなく楽器の特性を表現するのに欠かせません。タンギングは音出し時に舌はリ-ドから離れ音の終わりに元に戻ります。音の終わりは必ず「n」を表現した後に肺に残った空気を静かにゆっくり(又は素早く)吐きます。息の支えを一気に抜いて「パッ」と吐き出してはいけません。息を最後までコントロ-ルすることが上達の近道になります。

タンギングは先端が開きぎみのリ-ドを用いること、浅くくわえて吹くことを守って中音域の音からはじめましょう。方法は舌先よりもやや上(下)の部分をリ-ドの先端に当て、舌を離すと同時に「tu」と発音します。舌の動きは直線的ですが、曲線を描くように上回転(下回転)でリ-ドに「かする」ように舌を当てると連続したタンギングが行なえます。タンギングの基本は「tu」(柔らかい発音は「du」)でテヌ-トは「te」、スタッカ-トや早いタンギングは「ti」、スラ-スタッカ-トは「to」、アタックは「ta」を用いると効果的です。連符は最初をtuで発音しますが、次音や連続音はruやlaが効果的です。また、3連符はturutu又はtururuと発音します。音の発生&止音はアンブシュアが柔軟で自然であること、リ-ドを深くくわえていないこと、舌に力が入りすぎていないことが大切です。

音の区切りは「t」で始まり「n」で終わることが基本で、単音(tun)も長い音も同じです(tu~n)。また、発生&止音でリズムやテンポが決まり、明るく軽快で弾んだ曲は舌の動きを速くしてリ-ドに当てる時間を短く面積も少なくします。静かでゆっくりした曲は遅く長めで大きくします。発音と止音はアンブシュアの方法でも異なります。リ-ドを噛んで吹く場合は息を吸って唇を閉じてリ-ドの開きをなくし、吸う方向から吐く方向に息の流れが変わると同時に唇を緩めてリ-ドの先端を開き「プッ」と息を出します。音を止めるには息を吐きながら徐々に唇を狭め、最後にリ-ドの先端を閉じて音を止め、直後にリ-ドの先端に舌を当てます。リ-ドを噛まないで吹く場合は息を吸って唇は固定したまま(リ-ドの先は開いたまま)吸う方向から吐く方向に息の流れが変わると同時に呼吸筋肉を緊張させながら「ハ-」と出します。音を止める方法は息を吐きながら徐々に呼吸筋肉を緊張させてリ-ドの先端は開いたまま音を止めますが、音がなくなっても息は流れています。

タンギングを早くするには一定のテンポを連続して練習しますが、日々の練習を怠たるとすぐに遅くなります。まず、4分音符=36の速さで16分音符の連続(4小節前後)から始め、各音が同じ形に切れるように練習し徐々にテンポを上げて(=144)まで出来たら最高です。舌の動きはリ-ドから離す速度と緊張の度合いで音の立ち上がりや切れが決まります。舌を緊張させると素早い速度でリ-ドに当たる面積が少なくなるので速いテンポやスタッカ-トに適しています。逆に遅い曲やテヌ-トは舌をリラックスさせます。

ダブルタンギングはオ-ボエにとっては難しく出来る限りシングルタンギングを用いて下さい。ダブルタンギングはtuku・tuku(又はtokotoko)の連続で行ないkuの時に舌を引いた状態で行なうので発音が明確ではありません。練習はkuku~を中心に練習します。ある程度出来るようになったら音の動きに合わせてtukutukuを各音に合わせてみましょう。


9.[基礎奏法 音]
・ピッチ:ピッチは音の高さでヘルツ(hz)で表示され、A(ラ)=442hzが一般的です。ピッチは温度(気温)で変わり、楽器の温度が5度上がるとピッチは2~4hz高くなりますが、オ-ボエはピッチが変えられないのでリ-ドで調節します。リ-ドを抜いて合わせるのは極力避けて下さい。また、オ-ボエはチュ-ニングの音だけ合わせても上手く合わないのでバランスを考えて音を合わせてください。ピッチが悪い場合は楽器とリ-ドをまずチェックします。問題がなければ吹き方です。ピッチが低い場合は息が入っていないかリ-ドがアンブシュアがしっかり固定できていないのが原因です。逆にピッチが高い場合はリ-ドを深くくわえていたり強く噛んでいるためです。多くの場合、高音の緊張したアンブシュアのままで中、低音域を吹くと「うわずる」原因になりますリ-ドのピッチは「シ」の音が楽に出せるように先端の開きを調節して用います。人間は高い響きほど美しく感じると言われています。そのため、音色にのめり込むとピッチが高くなるので注意しましょう!

・音律:近年はチュ-ナ-の出現により、正しい音律の演奏が音痴に聞こえてしまう方が少なくありません。音律は数学的な間隔に分けた平均律と自然に聞こえる純正調(純正律)で音の間隔は異なります。音律は時代や地域により沢山の種類がありますが音律を習得するのは難しく、音楽が自然であることを目指してください!

・音程:音程は2音間のピッチ差のことで音程が高い(低い)とは2つの音の幅が広い(狭い)意味になります。音程はcent(セント)で表示され半音間が100centです。A音(442hz)だと約4centで 1hzの差になります。音程は和音を構成する音程と旋律の音程は異なり、たとえば、和音では3度6度の音程を広く(又は狭く)吹くことで調和を保つことはよく知られています。旋律では2度、3度、6度、7度を高めに吹くとよりメロディらしくなります。その他には導音を高めに吹く等で音楽が構成されています。音程は主音のピッチ、完全4度、完全5度を基本にして考えましょう。

・音色:音色は基となる「裸」と音の輪郭「服や宝飾品」で創られます。すでに決まっている「裸」は変えることが難しい為、吹き方を工夫して自分の好みの服やアクセサリ-で飾りましょう。音色の好みは豊かな響きでフレキシブルな落ち着いた草原を思わせる自然な音色と、凝縮した響きで伸びのある華やかな木の音がする機能美的な音色に分かれます。リ-ドでは「クロ-」が多く強いほど自然な音色になり、少なくて弱いと機能美的な音色になります。しかし、音の輪郭がぼけていると反対に聞こえる場合はあります。音色は倍音数や構成に関係し、倍音が多いほど蔦かな音色になり奇数倍音が強いと暗い音色になります。また、特定の倍音が強いと個性的な反面、調和しにくい音になります。

・上達への近道:「音色を捨てよう!」これが上達への近道です。だれしも「良い音ですねえ」と誉められたいものですが、音色は追いかけるほど下手になります。音色は上達の「おまけ」と考えましょう。「音は良いけどねえ」で終わらないために!オ-ボエの音色は時として悪性ウイルスになり感染すると詰まった響かない音が最良と思い込み、鳴らない楽器や変なリ-ドを使って力まかせに吹くようになります。悪性ウイルスは[うんちく]という方法であなたに忍び寄ってきます。「そんな音は嫌いだ!オ-ボエは音色が命!」と口走る吹き手には注意しましょう。

10.[運指について]
・楽器の持ち方、構え方:オ-ボエは指を楽器に自然な形で添えるイメ-ジが大切で、握力が強いほど運指は楽になりますが、その力はキ-から指を素早く離すことに役立てて下さい。オ-ボエは右手親指でサムレストの部分を筒を握るように持ち、リ-ドを差し込む際や移動、休憩の動作の基本になります。そして、ト-ンホ-ルに水が溜まらないよう上管が下がらない事とキ-側を上に持つように心がけましょう!吹く時はサムレストに頼らないで全部の指で楽器を支えるよう心がけて下さい。なぜなら、キ-を押さえる指が弱いと音のミスが発生するからです。尚、オ-ボエの重みが辛い場合はストラップ等を利用しても構いません。

・指の姿勢。指と手首の関係:指は卵を優しくにぎるように持つのが基本です。指は素早く離すことでテクニックも向上し音ミスも防ぐので遅いテンポや小さい音の時も機敏に動かしましょう。こつは熱いものをさわった時に指の関節を少し曲げて手を引っ込めるように離しますその際、指がキ-から遠く離れてしまいますが徐々に少なくしていけば問題ありません。また、各指が均一になるように手首を反らした姿勢を心がけましょう。

・楽器のキ-の押さえ方:オ-ボエの運指は運指表を見て正しく覚えてください。簡単だからとトリルキ-や替え指で覚えると後が大変です。楽器も一つの音に多くの運指を用いると楽器が安定しなくなります。最初はゆっくりと指の動きを観察しながら練習しましょう!指は押さえるキ-から1~2cm離れた付近に待機させ、指を離す時は素早く引き押さえる時は指を押し出す感じで軽く叩くように動かします。その時に指がつっぱったりキ-の横っ面から押さえないように工夫しましょう。

11.[音楽表現]
音楽の基本は歌うことで、優れた演奏技術だけでは表現することは出来ません。音楽は言葉です。アクセントや句読点、抑揚を感じて下さい。特に句読点(ブレス等)を間違えると意味が通じなくなります。また、欧米語は初頭に決定語(アクセント)があるので語尾が強い演奏にならないように注意しましょう!

・創造力、読解力、技術力:音楽は3つの力によって表現され、創造力は人間性を高め個性や知力を磨くことで養います。読解力は楽譜中の記号や決まりを正しく理解し、どれだけ表現するかが大切です。技術力は創造力と読解力によって得られた音楽を正確に楽器に伝達するための力です。楽譜には多くの意味が含まれていて、それらをよく理解して演奏しなければなりませんが、必ずしも楽譜通りであることが良い演奏ではないことも覚えておいて下さい。

・曲の取り組み方。演奏法:楽譜に書かれているテンポとリズムを手や足を使って作品の骨格を理解します。テンポ(リズム)が変わればリズム(テンポ)や音形も変化します。次に調子、そしてフレ-ズの中の音符の長さや役目、動きを理解してから音の高さを見ます。さらに楽譜をよく理解してから音色やヴィブラ-トを考えましょう。下手な人は音色、ダイナミクス、ヴィブラ-トだけで表現しようとします。オ-ボエの曲はバロック(後期バロック)、古典、ロマン派、近代&現代に分かれますが、どの時代もバロック時代の決まりや当時の常識(習慣)が基本になります。尚、現代曲では該当しない作品もあります。

・音楽的な奏法:フレ-ズはスラ-や同形の連続、メロディ等の複数音で音楽を形成しています。特に19世紀以降の作品は切れ目のない音楽が多くなります。ア-ティキュレ-ションは曲の雰囲気や流れが決まります。特に音の切り方はテンポリズム、そして次の音形を決定します。ダイナミクスは音量の違いによりfは息の量を増やしpは息の量を減らす純粋ダイナミクスと、pで吹いた直後にmfで吹くとfに感じるように錯覚を利用した錯覚ダイナミクス、明るくて力強い音で吹くと大きく、静かな優しい音色で吹くと小さめに感じさせる音色やダナミクスがあります。前打音は小さな音符で表示されていますが、普通の大きさの場合もあり、19世紀以前の曲は奏法が決められていますが、それ以降はその音を強調させるような奏法が用いられています。タ-ン(回音)はS字の反転で横置き又は縦の記号で、音の間を取り持つ装飾音として演奏します。倚音は前打音と区別がつきにくい音で不協和音で音楽を躍動させる働きをします。休符はテンポ感やリズム感を生むための「間」として大切で、演奏者にとって息継ぎであり聴衆にとっては「一息つく」なくてはならないものです。トリルは半音又は全音高く素早く繰り返す方法で19世紀までは厳格に決められていてトリル音の始まりは音符の長さや前後の音の関係に応じて上又は下からかけたり、ゆっくりしたトリルから始まったりします。トリラ-は表示された音の前に半音又は全音上げて戻す装飾音でその音価の中で素早く行ないます。

*西洋音楽の調性:楽譜は長調、短調で曲想が大きく変わりますが、調性でも雰囲気が変わり調号が少ないと現実的でパワ-を感じさせますが下手に聞こえやすくなります。逆に調号が多くなると非現実的で神秘的になり複雑で深い音楽に感じます。♭系は暗いイメージで行動的な調性になり、#系は明るく喜びや愛を表現しています。尚、短調の場合は同じ音を主音とする長調と性格が似ているため、必ずしも調性や調号の数による性格は当てはまりません。同主調は性格が正反対になることが多いようです。


12.[毎日の練習]
練習は「きっとうまくいく」という気持ちが大切で、「出来る速さ。短く区切る。集中できる時間内」で練習します。日々の練習は音やテンポ、リズム、音程等をイメ-ジしながら吹き、吹いた音がイメ-ジと異なる場合はすぐに止めて何が悪かったか考え、補正してイメ-ジと一致するまで繰り返す習慣を身に付けましょう。

①身体だけの練習 (楽器を持たない練習。歌う。呼吸、イメ-ジ、姿勢)10分。何時でも何処でも出来る練習で、まず身体をほぐし大きな声で(歌って)身体と脳を覚醒させ姿勢を確認します呼吸練習は沢山息を吸ってそのまま1~2分息を止めて我慢する練習、大きく息を吸ったら30~40秒少しずつ一定量を吐く練習、大きく息を吸ったら息を止め「プハッ」とならないように素早く「ハ-」と静かに吐く練習が効果的です。

②リ-ドだけの練習 (指でリ-ドを調節してから使おう。アンブシュア、発音、ピッチ)10分。リ-ドから手を離して「シ」の音を中心に「シb」「ド」を練習します。それから、音を伸ばしたり、タンギングのイメ-ジを練習します。さらに微妙なピッチの変化に対応できるように高め、低めを練習しましょう。(+)は高め(-)は低めに吹きます

③楽器を持つ練習 (リードを外します。姿勢、運指、アインザッツ) 10分。指が正しく美しく素早く押さえられるように指の動きを観察しながら反復しましょう。押さえ方に慣れたらアインザッツを大げさにしてみましょう!吹く前の動作が小さいと息も充分に吸えません。まず、楽器を床に立てる気持ちで息を吐き、床と平行になるくらいに楽器を持ち上げて息を吸い、吹く瞬間に通常の姿勢に戻る練習をしましょう。

④ロングト-ン練習 (音の素材作り、ピッチ、ダイナミクス)20分。ロングト-ンは自分の手足となるように音を育てる練習で、イントネ-ションや息の流れ、テンポ&リズムを考え音の終始に注意して練習します。ロングト-ンに限らず音の出しはじめは必ずタンギング(発音)して下さい超ロングト-ンは呼吸を鍛えるためで息の続く限り吹きますが一日2~3回に留めて必ず座って練習します。チュ-ニングはピアノやチュ-ナ-の音を聞いて自然で真っ直ぐな音が出せるように練習します。ロングト-ンはゆっくり息を吸ってtuと発音する遅いテンポと、ア-フタクトを吹くような早いテンポで発音方法を変えましょう。音の流れは息の勢いを徐々に強く息の量を徐々に減らす加速的な吹き方と息の勢いを徐々に下げ量を徐々に増やす減速音ができるように練習しましょう。音の終わり方は腹に力を入れて「ウン」と息を押し止めるように音を終わらせます。慣れてきたら腹を緊張させた状態で息を押さないでディミネンドします。舌だけで切らないようにして下さい。この方法を徐々に短い音で試します。どんなに短い音も始めと終わりは同じです。ダイナミクスはピッチが変らないよう息の量と勢いを調節する練習を行ないましょう。最後にヴィブラ-トを加えて練習します。

⑤スケ-ル練習 (音の均一、つながり、音程、指の動き)20分。音階練習(スケ-ル)は各音が同じ仲間になるように音の質(響き、音量、音色)を統一させ、正しい音程感を養う大切な練習です。また、各調(長調、短調)や半音階、分散和音にア-ティキュレ-ションを併用して行ないます。大切なのは何の練習を中心にしているのか理解して取り組むことです。音階練習は音量はmfでア-ティキュレ-ションや分散和音(アルペジオ)を取り入れて練習します。ア-ティキュレ-ションはテンポ感やリズム感を生むのに欠かせません。また、オ-ボエは和音の一つ一つを素早く繋げて演奏することが多いので複数の指の移動が多い分散和音の練習は欠かせません。音階練習は音が出ている状態でピッチを調節してはいけません。もし、イメ-ジと異なっていたらすぐに止めて修正して繰り返し練習します。各音が思い通りのピッチで吹けるようになったら二つ以上の音を続けて吹いてみます。続けた音が全て同じ音形になるように繰り返し練習します。音の跳躍練習は指の動きよりもアンブシュアの調整を工夫して下さい。トリルは曲のテンポや音符の長さによってトリルの入り始め(上からかける、下からかける)や回数(多い、少ない)勢い(均一、徐々に多く)を変えます。また、全音トリルと半音トリルの練習や素早く切れの良いトリラ-も練習しましょう。

⑥表現方法 (メロディの吹き方)20分。音楽を表現するには楽譜を読むことが基本なので言葉や記号は調べておきましょう。次に曲のテンポがどれくらいか自分の持つ知識と感性を発揮して感じて下さい。速度表示はあくまで目安で調子や拍子、ア-フタクトから始まる曲等でテンポは変わります。テンポが決まったらリズムを感じ、リズムによってもテンポが決まります。リズムは手で叩いたり歌って身体全体で表現しましょう。最後に各小節や各音の役割を理解しましょう曲の頭や終わり、主音、繋ぎ音、効果音等役割通りに演奏できるようになれば素晴らしい音楽が完成します。吹き方で注意することは、音色とダイナミクスとヴィヴラ-トだけで表現しないように心がけましょう!まずは確実に出来る速度から始めますが難しいところだけ遅くならないように速度を守りましょう!吹き方のテクニックは多種多彩ではありません。だれしも「音を出す、伸ばす、切る変える、飾る」だけで表現しています。

⑦教則本 (総合的なテクニックを身に付ける練習)30分~。教則本は幅広くテクニックを身に付けるための練習です。基礎練習のみで曲の練習をしても上手に吹けません。「急がば回れ」の精神です。教則本の多くは最初が優しくて突然難しくなります。これは最初にじっくり時間をかけて基本的な奏法を理解させるためなので無理に進まなくても構いません。教則本はメソ-ドから始め、主に音の出し方を学びます。音出しに慣れたらデイリ-エクササイズで毎日のウォ-ミングアップを兼ねて各調子や音の繋がりを練習します。次に平行してエチュ-ドで音楽の作り方を学びます。その他には指の訓練になるテクニカルエクササイズやスタディ、オ-ケストラ曲のソロを抜粋したディフィカルトパッセ-ジでうまくなりましょう!

⑧曲、合奏 (テクニックを駆使して音楽を表現)60分~。複数と合わせる場合はアインザッツや調和を協調性を大切にしましょう。アンサンブルでは徐々に大きな編成で慣れましょう。そして、自分の音や回りの音をよく聞いてバランスに気を使い、合奏やパ-ト練習では回りの音に合わせ全員が一つの音楽を担うことが大切です。大切な事はピッチと音量の共有とスタンドプレ-をしないことです

⑨レッスン(チェックと新たな目標のために)50分。自分の上達具合や成果を誰かに聞いてもらうことで安心とやる気が出てきます。たとえば、知人や先輩でも良いことは一杯あります。しかし、同時に間違った情報や無責任な意見に影響されるので注意が必要です。変だなと思ったら取り入れないことです。

[後書き]
この内容は小島葉子先生、虎谷迦悦先生、シェレンベルガー先生をはじめ、多くの諸先生方の協力により仕上げることが出来ました。ありがとうございました。このホームページと出会ったことでオ-ボエがさらに好きになって頂けたらいいなと願っています。               萩森幸子(Sachiko Hagimori)