「ルボア オーボエ調整」
「自分の楽器を自分で調整出来たらなあ!」と思ったことはありませんか? 「オーボエはアフターサービスが不可欠や、猛練習よりも一回の調整の方が上達する!」と言われるほど調整と切り離すことができない楽器です。「ルボア オーボエ調整」は演奏者が出来る範囲で紹介いたします。
目次
1.オーボエの調整。安全第一(自分と楽器に対して細心の注意を!)
2.調整に必要な工具を揃えよう!
3.スプリング調整
4.セミオ-トマチックシステムの調整方法(全てのオーボエの基本です。)
5.オ-トマチックシステムの調整方法
6.ロレ-オ-トマチックシステムの調整方法
7.リングキーの調整方法
8.イングリッシュ・ホルン(以下EH)&オーボエダモ-レの調整方法
1.オーボエの調整について
オーボエは約300の部品で出来ています。そして、一つのキーを動かすとでいくつかのキーを同時に作動させて 音を出します。その連動は40箇所もありコルクやネジを用いて(0.02㎜)の精度で調節されています。
*オーボエの調整は吹き方とリードに合わせます。
調整は吹き方(呼吸、アンブシュア)やリ-ドで変わるので、吹き手の好みや考え方を修理者が知って必要があ ります。たとえば、タンポの共振、トーンホールに水が溜まる、高音域が下がる、音が詰まる等は楽器だけでな く呼吸も影響していることが少なくありません。ピッチや音程はアンブシュアと楽器の双方に関わってきます。 音色、吹奏感、息の抵抗感は、リ-ドや使用しているチューブが関与します。
*自分で出来る調整はどこまで?
オーボエはデリケートなので些細なことで鳴らないことがあります。その際に、少しでも修理の知識と方法を知 っていれば気持ち的にも安心です。しかし、自分で修理する時は「触るのは一箇所だけ」に留めることです。二 箇所以上同時に触ると分からなくなります。自分で行う場合は「あわてない」ことが一番です。 たとえば、スワブが詰まった時など慌てなければ自分で直せるケースも少なくありません。
*良い状態を知っておこう!
楽器の調整の良し悪しを知るには、まず良い状態を知ることが大切です。正しく調整された状態を自分でチェッ クして覚えておくと一つの基準になります。これから、自分で調節される場合は必ず現状をチェックして、でき るだけ感触を覚えておくことも大切です。自分なりの漢字をメモにしておくのも一つの方法です。
*安全第一(自分と楽器に対して細心の注意を!)
何事も安全第一に考えてください。特に力がかかる作業のときは万全の状態を確保してください。焦っている時 こそ「冷静に落ち着いて、よく考えて」対処し、明るい所で作業してください。ドライバーを使うときは滑って 手を怪我しないように楽器に傷をつけないよう注意しましょう!ペンチでキーを挟んで曲げるときなど力が入っ ている時に怪我をします。スプリングを曲げるときは目を離して行ってください。古くなったスプリングは突発 的に折れて飛んできます
*調節ネジの役割を知っておこう!
オーボエの調節ネジはメーカーや機種によって異なりますが、約25個前後付いています。その目的は3つに分か れます。また、調節ネジの代わりにコルクで調節する箇所も多々あります(ジョイント部分のキーの連絡等)
特に古い楽器や初級モデルの楽器は、新しい楽器や上級機種に比べ、コルクで調整する箇所が増えています。
・キーとキーを連絡する調節ネジ:一番重要なネジで、わずかな狂いで音が出なくなります
・タンポの開きを調節するネジ :主にピッチや音抜けに関わる調節ネジ
・キー間の隙間を調節するネジ :キーの動きをスムーズにするために遊びを少なく調節するネジ
・調節コルク :メーカー、機種によって調節ネジの代わりにコルクの厚みで調節します
調節コルクの見分け方は調節ネジのないところは多くが調節コルクです
それ以外は音消しのためか、キーの開き用(ピッチ)に付いています
*調節ネジの動きを知っておこう!
調節ネジの動きだと時計で2~3時(6分の1回転。1回転は0.4㎜)になります。また、替え指の為に、キーを押 さえるバネとそのキーを開くバネが混在しています。これらを正しく作動することと、音程、音色など吹き手の 思い通りに吹けるようにすることが調整です。ご自分でネジ調節をするのは難しいのですが、良い状態を知って おくことはとても大切なことです。
*キ-関連のネジ調整(調節ネジ)
調整は明るい場所で安全第一に行なってください。特にドライバ-で手を刺したり、楽器に傷をつけたりしない よう注意が必要です。オーボエは各楽器によってネジの数や位置が多少異なるので、よく見極めてから行ってく ださい。調整の際は数箇所を同時に動かしてはいけません。そして、ネジのドライバ-の溝の向き等、前の状態 を確認(メモ)してから行いますが、ネジ類はその都度、元の位置に戻してください。調節ネジは「キ-とキー を繋ぐ(隙間を作る)ネジ」と「キ-の開きを変えてピッチや音色を調節するネジ」があり、同じ形のネジなの で間違えないよう手順通りに行なってください。また、キーとキーが繋がる連動部分は隙間(遊び)が必要であ ることも覚えておいてください。
*調節時の指の押し加減と感触について
ネジ調節はキ-を押さえてチェックする時に右手親指を多く用いますが、親指は他の指よりも力が強く鈍感なの で極々軽く押さえてください。また、調整紙も人差指と親指で極々軽く挟み、引き抜く際に手からすべって離れ るくらいがベストです。タンポの条件が異なると調整紙を引き抜く感触が変わります。特にヤマハやラウビンオ ーボエはタンポ、トーンホールとも滑りやすい状態なので調整紙が引っかかりません。スキンタンポや大きいタ ンポは滑りやすく、コルクタンポは強くなり、小さなタンポや皮タンポは力加減で変わります。また、スキンタ ンポの素材によっては滑りやすく感触が難しくなります。調整は微妙なバランスが必要でネジを回す際はドライ バ-を適度(強すぎず弱すぎない)に押しつけながら動かします。ネジは時計回り(右回り)に回すと閉まりま す。(連動が強くなります)また、1回に回す量は時計で10分以内(60°以内)にします。
2.調整に必要な工具を揃えよう!
・ドライバ-
楽器の付属品はあくまで緊急用で、しっかりとした握りの太いドライバー(精密4番サイズ)を用意してくださ い。メーカーとしては「リグータ」「PB」「ベッセル」等で、小さいネジ用の細いドライバ-やロングドライバ ーもあると便利です。オーボエ調整用のドライバーはネジの幅、溝に合うものを見つけてください。ドライバー 次第で調整の上手か下手かが決まってしまいます。
使い方はドライバーをしっかりと握り、ネジの頭の溝に押さえつけるように当てて回します。強く押さえすぎ
るとキーが曲がったり、ネジ下のコルクが凹んだり穴が開いてしまいます。ドライバーを回す時はネジのつい
ているキーを調節ネジの下のコルクに接触しないように持ちながら、そして適度な力加減が重要です。締める
ときは右回り(時計回り)緩めるときは左回りに回します。
・調整紙(薄さ0.02㎜のクリ-ニングペ-パ-を底辺約8cmの二等辺三角形に切った物)
調整紙はタンポの塞がりをチェックするのに用います。オーボエはトーンホールが小さいことと、楽器本体の管 厚のため光や目視ではチェックできません。
使い方は調整紙をタンポとト-ンホ-ルの全面に当たるように間に差し込み、キ-を極軽く押さえて引っ張りま す。理想は演奏中に押さえる力です。親指は指の中で一番鈍いので親指でキーを押えるときは特に軽く押えてく ださい。抵抗なく抜ける場合は塞がっていないことになります。調整紙を持つ力とタンポとホ-ルから引き抜く 力は極軽く行ないます。さらに調整紙には裏表で滑り具合が違うので注意しましょう。タンポがホ-ルに均一に 当たっているか調べる場合は、調整紙の細い所を使ってタンポがホールに当たっている部分を5カ所調べます (前、両サイド、後のアームの脇2ヶ所)
・スプリングフック
ニードルスプリングの掛け外しや、スプリングの強さを調節するために使用します。形はいろいろありますが、 オーボエ用はとにかく細く小さいタイプが良いでしょう。タイプは一体型タイプ(スプリングを引っ張る部分と 押す部分が一体)と分割型タイプ(細い棒の両端が引っ張る部分と押す部分)に分かれます。一体型の方が効率 的に良い反面、サイズがやや大きいため使い勝手は悪くなります。分割型はいちいちひっくり返さなければなら ない反面、価格の安さと細かいところで使えるので一長一短があります。
使い方は一般に知られていませんが、オーボエにとってスプリング調整は、ネジ調整と同じくらい重要です。特 に替え指の関係で開けようとするスプリングを、それよりも強い力のスプリングで押さえる機構が7か所前後も あり、それがオーボエの調整の難しい一因です。スプリングを強くする場合はスプリングのどの位置にひっかけ て引っ張る(押す)かでスプリングの強さや動きが決まります。引っ掛ける(押す)場所によって、スプリング が変な曲がり方をすると、キーのパイプ部分や隣のスプリングに接触したり、スプリング本来の力が発揮できな い角度になったりします。スプリングを弱くする場合は特に注意が必要です。まず、スプリングの根元を押した り引っぱると折れる危険性が高くなります。特に古い楽器はさらに危険率は高まります。理想的なスプリングの 曲げ方はスプリングが掛かっている状態で一直線に近い状態です。スプリングを外すと綺麗な曲線を描くような ラインが理想です。
・ペンチ
挟む面が平らなペンチで2㎜くらいのものを挟んだ時に平行になるペンチを用いてください。ギザギザのペンチ でキーを挟むときーがキズだらけになるので絶対に使わないで下さい。緊急でギザギザペンチを使用せざるを得 ない場合は、紙やクロスなどを挟んで用いるしかありませんが反対に滑ってキーに大きな傷をつけかねません。 基本は曲がったキーを直すのに用います。ただし、曲がりどころが悪かったり強力に曲がっていると元に戻す際 に確実に折れるケースも少なくありません。まずは、よく観察してください。溶接部分から曲がっている場合は 折れる危険性がさらに高まります。また、メーカーによっても折れやすいメーカーがあります
使い方はペンチはキーを掴む場所と、面積、そして握力です。掴んだら目いっぱいの力で固定します。 もちろん、掴む場所もよく検討してください。なるべく広い範囲で掴むことが安全を生みます。
3.スプリング調節
オーボエのキーはニードルスプリング(針バネ)とフラットスプリング(板バネ)によって作動します。
*ニードルスプリング(針バネ)
ニードルスプリングはポストに固定されていて各キーのスプリングかけに引っ掛けてあります。サイズはオーボ エの場合0.4㎜~0.7㎜が使われていて、太いスプリングほど強くなります。また、長さでも強さが変わり、短い ほど強くなります。多くのオーボエは軽(0.4㎜短~0.45㎜長)、中(0.45㎜短~0.55㎜長)、強(0.55㎜短 ~0.60㎜長)の3種類が一般的です。(EHの場合、ワンサイズ太くなります。0.5㎜~0.65㎜)ニードルスプ リングは先が尖っているので刺さないよう注意が必要です。 フラットスプリングはキーの裏にネジで止められていて、その多くは他のキーのニードルスプリングを押えたり 押さえられたりしているので力加減が微妙です。フラットスプリングの強さは厚みと幅で決まり、オーボエの場 合は長いフラットスプリング程厚みのある強いタイプが使われています。 ニードルスプリング、フラットスプリング共に材質、太さ、長さ、曲げ方(向き)で強さや力の向きが変わるの で基本的には変えないで下さい。緊急の場合は力の弱いスプリングを強くするくらいに留めてください。 強いスプリングを弱くすると折れる危険が高くなります。
・ニードルスプリングのはずし方と掛け方
ニードルスプリングはスプリングフックで「掛け、外し」を行います。スプリングフックを当てる位置はニード ルスプリングの先端に近い部分に当てて掛け外しを行ってください。外れやすいスプリングは引っ掛ける部分と の角度が悪いためでニードルスプリングを引っ掛ける部分より、シャフトまたはパイプの中心寄りにニードルス プリングの根元付近をスプリングフックで押し上げながら(押し下げながら)曲げます。
・ニードルスプリングの曲げ方
ニードルスプリングの曲げ方はニードルスプリングが完全に作動した状態で一直線になるのが理想です。一部分 だけ曲げると作動したときに弓なりになってどこかに接触したり、キーの押さえ始めと終わりの力の差が大きく り、塞がりにくく押さえづらくなります。スプリングフックを使って曲げる場合は、ニードルスプリングの中央 から先端寄りの位置を引っ掛けて曲げます。ただし、ニードルスプリングを弱くする場合はキーに引っかかって いる部分に近い場所をスプリングフックで押し引きします。ニードルスプリングの根元で調節しようとすると折 れます。特に古い楽器のニードルスプリングは折れやすくなっています。
・フラットスプリングの曲げ方
フラットスプリングはニードルスプリング同様、全体に丸みを帯びるように曲げてありますが、特にキーの動き を強く速くしたい場合は先端から5前後の部分を曲げます。フラットスプリングは他のキーに付いているニード ルスプリングやフラットスプリングの力で押さえられていたり、ニードルスプリングの付いた複数のキーを一度 に押さえるフラットスプリングもあるので関連している他のスプリングとの力関係が重要になります。
*ニードル&フラットスプリング(セミオートマチック)
上管
・第2octキー [中] :強すぎるとタンポがくっつきやすい
・第3octキー [中] :特に問題はない。弱すぎない事
・H-C#trカップ [中] :全体の音色に影響するが、強すぎると操作が難しい
・C-Dtrカップ [中] :全体の音色に影響する。出来れば軽やかに動くように
・Hキー [軽] :重いのは問題だが、軽すぎると操作性が難しい
・Gキー [中] :特に問題はない
・第1octレバー [強>軽]第1octカップ :レバーが強すぎるとタンポがくっつきやすい
・Cカップ [軽<強]C連絡キー :連絡キーが強くCカップが弱いとタンポがくっつきやすい
・Aキー [中>軽]Ab-Btr :Ab-Btr反転の場合だとAキーが動かなくなる危険性大
・Bカップ [軽<強]C連絡キー :連絡キーが強くCカップが弱いとタンポがくっつきやすい
・G#キー [中<強]G#レバー+Ab-Btrキー :レバーが強いとカップが開かない。弱いと浮いてしまう
下管
・C-Dtrレバー [軽] :弱いと楽器を組み立てるときに曲げやすい
・F#キー [中] :弱いと楽器を組み立てるときに曲げやすい
・F#リゾキー [中] :弱いと左Eb-フォークFのつながりが悪い
・Fキー [中>軽]左F連絡キー :連絡キー反転の場合、Fキーが弱いと浮いてしまう
・フォークFキー [軽<中]Dキー :フォークFキーが強いと閉まらなくなる
・Eキー [軽] :弱すぎると動かなくなりやすいが強いと押さえにくい
・Dキー [中] :弱いとフォークFキーが閉まらなくなる
・LowCキー [中] :弱いと動きが特に鈍くなる。強いとポストが回転する
・LowEbレバー [軽<中]LowEbカップ :レバー反転の場合、カップが浮きやすい
・LowEbカップ [軽<中]LowEbカップ :どちらが弱くても問題あり
・LowC#レバー [中>弱]LowC#カップ :レバーが強いとカップが開かないし、弱いとカップが浮く
・LowHカップ [中] :弱すぎない。しかし、強いと押さえにくい
・LowB連絡キー [軽] :強すぎない事。LowH&Bキーが鈍い場合は強く
ベル
・LowBカップ [中] :弱すぎない事。強すぎるとLowBが押さえにくい
・LowBリゾ [中] :弱すぎると中音Eのピッチが高めになる
*ニードル&フラットスプリング(オートマチック)
上管
・第2octカップ [軽] :弱すぎると開かない。強すぎると閉まらない
・第2oct連絡 [中] :強すぎると第2カップがくっつきやすい
・第1oct連絡 [中] :強すぎると第1カップがくっつきやすい
・第1oct連絡 [中>軽]第1octカップ :第1カップが弱いとタンポがくっつきやすい
・第1octレバー [軽] :弱ければ問題ない
・第3octキー [中] :特に問題はない。弱すぎない事
・H-C#trカップ [中] :全体の音色に影響するが、強すぎると操作が難しい
・C-Dtrカップ [中] :全体の音色に影響する。出来れば軽やかに動くように
・Hキー [軽] :重いのは問題だが、軽すぎると操作性が難しい
・Gキー連絡 [中>軽]第2カップ&第1カップ:重要。連絡キーが強すぎない、弱すぎない
・Gキー [軽] :出来るだけ軽くGキーがかろうじて動く程度
・Cカップ [軽<強]C連絡キー :連絡キーが強くCカップが弱いとタンポがくっつきやすい
・Aキー [中>軽]Ab-Btr :Ab-Btr反転の場合だとAキーが動かなくなる危険性大
・Bカップ [軽<強]C連絡キー :連絡キーが強くCカップが弱いとタンポがくっつきやすい
・G#キー [中<強]G#レバー+Ab-Btrキー :レバーが強いとカップが開かない。弱いと浮いてしまう
下管
・C-Dtrレバー [軽] :弱いと楽器を組み立てるときに曲げやすい
・F#キー [軽] :弱いとキーが動かなくなる
・F#キー [軽] :弱いと楽器を組み立てるときに曲げやすい
・F#リゾキー [中] :弱いと左Eb-フォークFのつながりが悪い
・Fキー [中>軽]左F連絡キー :連絡キー反転の場合、Fキーが弱いと浮いてしまう
・フォークFキー[軽<中]Dキー :フォークFキーが強いと閉まらなくなる
・Eキー [軽] :弱すぎると動かなくなりやすいが強いと押さえにくい
・Dキー [中] :弱いとフォークFキーが閉まらなくなる
・LowCキー [中] :弱いと動きが特に鈍くなる。強いとポストが回転する
・LowEbレバー [軽<中]LowEbカップ :レバー反転の場合、カップが浮きやすい
・LowEbカップ [軽<中]LowEbカップ :どちらが弱くても問題あり
・LowC#レバー [中>弱]LowC#カップ :レバーが強いとカップが開かないし、弱いとカップが浮く
・LowHカップ [中] :弱すぎない。しかし、強いと押さえにくい
・LowB連絡キー [軽] :強すぎない事。LowH&Bキーが鈍い場合は強く
ベル
・LowBカップ [中] :弱すぎない事。強すぎるとLowBが押さえにくい
・LowBリゾ [中] :弱すぎると中音Eのピッチが高めになる
*ニードル&フラットスプリング(ロレーシステム)
オクターブ関連(G-第1&第2)のみ。それ以外はセミオートと同じです。
・G連絡 [中重>中]シーソー :G連絡が起点となります。強すぎるとGキーが重くなります
・シーソー [中>軽]第2カップ :G連絡と第2&第1カップの間の強さで難しい
・第2カップ [軽<中]第2&第1連絡 :弱すぎると開きません。強すぎると閉まらなくなります
・第1カップ [軽<中]第2&第1連絡 :弱すぎると開かなくなり、強すぎると閉まらなくなります
・第1レバー [軽] :軽ければ特に問題はありません
4.セミオ-トマチックシステムの調整方法(全てのオーボエの基本です。)
*調節ネジの名前と効果、調整方法を表示しています。
●: 調節ネジ名と位置。■:オプションネジ(機種によって付いていません)
?:ネジの調整目的や手順
!:危険要素&他のネジとの関係
*上管の調整
●:[第2ネジ]第2オクターヴキー(octと表示)の開きを調節するリードの差込口に一番近い調節ネジ
?:HighA~C用。締めると暗く落ち着き、緩めると華やかで明るくなり、第2&第1を約1.5mmの開きにします
!:第1octと第2oct間に遊びがないようにします。[第1ネジ]が閉まりすぎだと開き調整が難しくなります
●:[第1ネジ]第1オクターヴキーのネジでリードの差込口から2番目にある調節ネジ
?:Mid.EからG#の音抜けと音の明暗を調節しますが効果はわずかです。[第2ネジ]と連動します
!:[第1ネジ]を緩めすぎないこと。第1レバーと第3レバーが接触して第1カップが閉まらなくなります
[第2ネジ]が閉まりすぎていると第1タンポの開きが狭くなります
●:[第3ネジ]楽器の裏側にある第3オクターヴキーの調節ネジ
?:第3octのHighE~HighG#の発音と音抜けとピッチを調節するネジで(0.3~0.8mm)の開きに調節します
!:緩めすぎると第3octを作動させた際に第1octレバーに接触します。このネジは硬いことが多く注意!
●:[Hキーネジ]左手人差し指で押さえるHキーに付いているネジ
?:HighC#~HighEbのピッチと音抜けを調節し、Hキーをハーフホール(Hキーの穴を開けた状態で押さえる)で 吹く場合は1.0~3.0mm。Hキーを押さえない場合は狭く(0.2~0.3mm)します。チェックはpで行います
!:HighD以上でハーフホールの場合は開きを大きく、Hキーを押えない場合は極力狭くしますが狭くすると HighC#の音抜けが悪くなります。オートマチックやLowHリゾナンスキー付の楽器はHキーを極力狭くします
HighC#、HighDのピッチや音抜けはLowC-Eネジで行いHキーをハーフホールで押える場合、Eキーはしっか り塞がる状態にします。オープンで吹く場合は緩めてLowCキーを押えてもEキーが塞がらないようにします
■:[HighC#-Dtrネジ]HキーのC連絡キーに繋がるネジ。HighDの時にHキーを左手人差指を離す運指用です
?:HighDの運指で左手人差指を離した時にHキ-の開きを少なくすることでHighDの音が出しやすくなります
!:力を押し付けてネジを回すとHキーが曲がり、Mid.BbとCのタンポが閉まらなくなりAとHが出なくなります。 その場合はHキーとF#-BC連絡キーとの間に隙間が出来るまでHキーをペンチで曲げてください。
HighC#のピッチはHキ-音調ネジで調節し、締めるとピッチは低く音抜けが悪く、緩めると反対になります
●:[A-Cネジ]重要。左手中指で押さえるAキーとCカップの調整ネジ
?:緩むと中音Bの時にCタンポが浮き鳴りやピッチが悪くなり、閉まりすぎるとA以下が出なくなります
!:若干Cタンポの塞がりを緩めにするのがこつです
■:[C音調ネジ]Cカップに付いているネジ。ロイヤルなどに装備
?:中高音Cのピッチ用で高い場合にのみ締めます
!:締めすぎに注意しましょう
●:[B-Cネジ]重要。CカップとBカップの調節ネジ
?:同じ状態に調節します。緩いとCタンポが浮いてしまいHの音が悪くなります。閉まりすぎているとBタンポが 浮いたままでG以下が鳴らなくなります。そのため、心持ちCタンポの方を弱めにします
!:締めすぎに注意しましょう
●:[F#-B&C連絡ネジ]重要。F#キーとB&Cカップを塞ぐネジで上管メインの3つのネジよりも離れています
?:緩むとF#-B&C連絡キーと下管のF#キーの隙間が無くなりB&Cタンポが浮いたままでABHのピッチが取れな くなります。閉まりすぎるとB、Cのピッチが低く音抜けが悪くなります。
!:緩めすぎに注意。40年以上前のロレーやラウビンは[F#-BC連絡ネジ]の動かし方が逆になります
F#-B&C連絡キーとF#キーとの状態[隙間または遊び]が重要です
●:[G-B&Cネジ]最重要。GキーとB&Cカップを塞ぐネジです。
?:GキーとB&Cカップの調整ネジ。緩いとF#以下が、閉まりすぎるとGキーを強く押さえないと音が出なくなり ます。調節はGキーとBカップで行い、Cカップはキーのガタツキによりますが軽く塞ぐようにします
!:[G-B&Cネジ]は狂いやすいので常にチェックが必要です
■:[Aネジ]Aのピッチ調節のネジ。多くの楽器はコルクの厚みで調節します
?:締めるとAは低く詰まってきます。緩めると高く明るい音になります
!:締めすぎないように
■:[G#-A小ネジ]Ab-Btrキーに付いている小さなネジです
?:H、Cのピッチ調整に用い、締めるとAキーが下がりHとG#のピッチが低くなり中音Cの音が高くなります。緩 めるとHとG#のピッチは高く中音Cは低くなります。G#のピッチはF#キータンポの開き具合でも変わります
!:締めすぎ、緩めすぎは厳禁です
*調節の順番(以下のネジ以外は単独で調節します)
①左手に上管を逆さに持ち、左手親指でF#-B&C連絡キーを押さえてB&Cのカップを開けます。△調整紙をCタ
ンポとト-ンホ-ルの隙間に入れ「F#-B&C連絡キー」を離し△調整紙を引き抜きます。Bキ-も同様にチェック します。Bカップの方がCカップよりも抵抗を強く感じる場合は[B-Cネジ]を締め、Cカップの方が強く感じる場合 は[B-Cネジ]を緩めてください。同じになったら[B-Cネジ]を時計で3分程緩めてください。これは保険のためで CカップがBカップよりも強く閉まると全体になりにくくなるからです。
②[F#-B&C連絡ネジ]部を押さえ、F#-B&C連絡キーの下に「4つ折又は適当に丸めた紙、コルク等」を挟んでB&C
カップが開いた状態になるよう固定して[A-Cネジ]を調節します。方法はAキ-を押さえてCキ-が塞がるかチ
ェックします。Cキ-はタンポが小さく、スキンタンポも多いのでCキ-が少し弱く感じるよう調整します
③同様にGキーを押さえて[G-B&Cネジ]を調節します。Bキ-はタンポが小さくスキンタンポも多いのでBキ-のが
弱く感じるように調整します。
④右手人差し指の付け根で操作するAb-AtrレバーとG#カップ間の隙間をチェックします。隙間がないとG#(Ab)
キーが浮きっぱなしになります。その場合は隙間のコルクを取り除きますが問題はありません
*下管の調整(上管とのジョイントに近い側から)
●:[F#-G#trネジ]古い楽器やリングキーの楽器はコルクの厚みで調節します
?:F#-G#トリルの調節ネジでネジが緩むとトリルが出来なくなり、きついとF#以下が出にくくなります
!:上下管のジョイントがぐらついていると調節出来ないので、ぐらつきを直してから調節します
■:[C-Dtrネジ]特に必要なネジではありません。マリゴなどに装備
?:右手C-Dトリル用のピッチを変更するためのネジで、閉まりすぎているとDのピッチが低くなります
!:特になし
●:[左Fネジ]左Fの替え指で動きの遊びをなくすネジです
?:左Fレバーを押さえFキーを作動させた際にわずかな遊びがあるように調節します
!:閉まりすぎているとFキーが開きっぱなしになるのでそのときは緩めてください
●:[E-F#ネジ]重要。EキーとF#リゾカップを調節します
?:Eキ-を押さえた際にF#キーとEキーの間の小さなF#リゾカップが閉まるように調節します。緩いとEから下 が鳴り難くなり、締めすぎるとEキーを強く押さえないとEが鳴らなくなります
!:F#リゾカップが弱くなるように調節します。強すぎるとEキーを強く押さえないと鳴らなくなります
[フォークFネジ]が締りすぎで難しい場合は[フォークFネジ]を緩めて[E-F#ネジ]を調節後、元に戻します
●:[D-F#ネジ]重要。フォークFの音が正しく出るように調節するネジです
?:DキーとF#リゾカップの調整で、緩いとフォークFの音がぼやけてうわずります
!:閉まりすぎているとDキーを強く押さえないとD以下が出にくくなります。[E-F#ネジ]と同じ調節にします
●:[フォークFネジ]最重要。Eキ-とフォークFリゾカップとの調整をします
?:このネジが緩むとと低音D以下が出にくく、閉まりすぎているとEキーを強く押さえなければなりません
!:[フォークFネジ]は難しいので吹きながら調整します。また、Eキーを押える力加減でチェックします
[E-F#ネジ]が閉まりすぎていると[フォークFネジ]の調節が難しくなります。
●:[E音調ネジ]Dキーに付いているネジでフォークFリゾカップと連動しています
?:このネジを締めると全体に暗い音になり、EとフォークFのピッチは低くAが安定し中音Fが不安定になります。 緩いと楽器の性格が明るくEとフォークFが高く、中音Fは安定します
!:緩めすぎ、締めすぎに注意してください。
■:[バナナキーネジ]特に必要としません。マリゴなどに装備
?:多少緩んでいたほうが無難です
!:閉まりすぎているとLowCレバーが下がってDのピッチが低くなり、中音Fが安定しなくなります
*調節の順序
①[E-F#ネジ]で右手の中指でEキ-を押さえ、F#リゾカップが閉まるように調節します。吹いてE音が出にくいと
きは調整紙をF#リゾカップとホ-ルの間に挟んで強ければ緩め、弱ければわずかに締めます。このネジはフォ
ークFリゾカップの関連ネジと密接に関係しているので、フォークFリゾカップの調節ネジを緩めてから行うと
わかりやすいでしょう。調整後、元の位置に戻し再度チェックします
②[フォークFネジ]でEキ-とフォークFリゾカップの調整をします。このネジが緩んでいると低音D以下が出に
くくなります。Dキ-を押さえてフォークFリゾカップを開けた状態にし、調整紙をフォークFリゾカップとホ
-ル間に挟んでEキ-を押さえてチェックします。力加減はフォークFリゾカップが極軽く塞がっているよう
にします。強いとEキ-を強く押さえなければならなくなります。吹きながら試してください。
③[D-F#ネジ]でEとフォークFのピッチを安定させます。この調整は閉めすぎ、緩めすぎだけ注意します
*低音域の調整は主にトリル関連が多くなります
●:[D#-Etrネジ]LowB(H)、Bbレバーの長いキーの中央側面に付いている[小ネジ]
?:締めすぎると右Ebレバーよりも左Ebの方が低くなります。反対に緩いとトリルが出来なくなります
!:ネジが硬くて動かいないことが多いので楽器に傷をつけないよう注意しましょう
●:[LowC-Dネジ]HighC#、Dのピッチ補正ネジでロイヤル等に装備されています
?:締めるとHighC#とDのピッチが低く、緩めると高くなりますがLowC音調ネジほどの効果はありません
!:締めすぎないことです。LowC音調ネジが優先です。このネジは微調整や音色の変化に用いてください
●:[LowCネジ]HighC#&Dの音抜けとピッチに関わるネジです
?:LowCキーを押さえEキーが塞がっていることが基本ですが、運指によってはEキ-を少し開いた状態に調節し
ます。開きが大きいほどHighC#とD音抜けが良くピッチは高くなります
!:締めすぎるとLowCから下の低い音が出なくなります。LowC-Ebtrネジの締まりすぎは調節を難しくします
●:[Fリゾネジ]メーカーによって位置が異なります
?:通常はFリゾナンスキーの上に付いていて締めるとFはより安定し、音色は明るくピッチが高めになります
!:締めすぎに注意してください
●:[フォークFピッチネジ]フォークFのピッチ調節ネジでロイヤルに装備されています
?:通常は解除した状態になっていて締めると低くなります
!:×
●:[LowC#ネジ]#とDのピッチを調節するネジです。マリゴに装備されています
?:締めるとC#とDのピッチが低くなり、緩めると高くなります
!:締めすぎるとLowCカップの開きが狭くなり中音Fがひっくり返るようになります
●:[LowC-Ebtrネジ]LowC-Ebトリルのためのネジです。
?:左Esキ-を作動させLowC#キ-を押してチェックします。締めすぎるとLowCから下が出にくくなります
!:古い楽器などEbカップのガタツキが大きい場合や、[LowCネジ]が閉まりすぎだと調節が難しくなります
●:[LowH-C#trネジ]LowHとLowC#のトリル調節用ネジです
?:LowHキ-を作動させたままでLowC#キ-を押してチェックします
!:締めすぎるとLowH&Bが出にくくなります
●:[Ebネジ]LowB&Ebの長いキーの無駄な動きをなくすネジです
?:閉まりすぎる(遊びがない)とEsキ-が浮いた状態になり、緩みすぎると左Ebピッチが低くなります
!:楽器によって[LowH-Bネジ]の動きが異なるので注意してください
[LowH-Bネジ]調節により[Ebネジ]とその下の板バネ間に遊びがないとEbカップが開いた状態になります
●:[LowB-Hネジ]LowBカップ、[LowH-Bネジ]LowHカップそれぞれの動きを調節するネジです
?:LowBカップ用[LowH-Bネジ]と、LowHカップ用[LowB-Hネジ]に分かれます。いずれもLowBの調節用ですが 動きが逆になります。[LowB-Hネジ]を締めるとLowBカップがLowHカップよりも速く強く閉まり、緩めると 遅く弱く閉まります。[LowH-Bネジ]だとLowHカップが速く強く閉まり、緩めると遅く弱く閉まります
!:2つの見分け方はLowHレバーの裏側にLowBレバーの裏側にキーが繋がっているのが[LowB-Hネジ]です
ベルの[LowBネジ]と下管側の連絡キーとの接続部に隙間をつくります
●:[LowBネジ]ベルに付いている1∼2つのネジで多くの楽器は付いていません
?:基本はネジ下の下管側のキーとの間にわずかな隙間を作ります
!:締めすぎるとLowBリゾカップが浮いてしまい、中音Eのピッチが高く鳴りがこもってしまいます
[LowB-Hネジ][LowH-Bネジ]との関連がありますが遊び調整を優先してください
*組み立てた状態での調整(上管&下管調整)(下管&ベル調整)
①F#キーを軽く押さえて上管の接続キー間の遊びを確認してください。遊びが無い又は大きい場合は[F#-B&C連
絡ネジ]調節します。締めると隙間は大きくBとCのピッチが低く、緩めると高くなりますが緩めすぎると遊び
がなくなります。古いロレーやラウビンは動きが反対になります。
②F#の音が出るかチェックします。強く押さえないと出ない場合は[F#-G#trネジ]を緩めます。出るようになっ
たらG#レバーを抑えた状態でFisの音を出してください。G#のタンポが浮いた状態の場合は[F#-G#trネジ]を音
が出るまで締めます。このときに組み立てがずれていたり、ジョイントコルクが減ってぐらついていると調整
できないので、その場合は少し緩めた状態にしてください。
③右C-Dトリル調整を確認します。上管のC-Dトリル接続キーと下管のキーとの間に隙間があるかチェックしてく
ださい。隙間がないとトリルキ-が作動した状態になり全く音が出なくなります。
④下管の一番長いキーのベル側に近いEbカップとC#カップの間で外側に大きく飛び出た[LowB-Hネジ]を調節し
ます。このネジを締めるとLowBカップ(またはLowHカップ)が早く塞がり、緩めると反対になります。締めす
ぎるとLowBとEbレバー(またはLowHとEbレバー)の動きに遊びがなくなり、Ebレバーのカップが浮いた状態 になるので注意が必要です。この部分はLowBキ-の隙間調整やLowH&Bの接続調整が関わってきます。
⑤ベルのキーに「ネジなし」[LowBネジ][LowBネジ&LowHリゾネジ]の3パターンがあり、それぞれ下管とベルを
組んだ時にキー間に接続部に隙間が必要です。隙間がないとLowBbリゾカップが開きっぱなしになります。隙
間を作るには調節ネジを緩める、コルクを削る、キーを曲げるかのいずれかを選択します。[LowBネジ]&[Low
Hリゾネジ]とも閉めすぎるとLowBbリゾカップが開きっぱなしになります。
5.オ-トマチックシステムの調整方法(セミオートと異なるのは主にオクターヴの調整です)
(上管の調整)
●:[G-2ネジ]Gキーと第2オクターヴキー(第2oct)を調節するネジです
?:第1レバーを作動させ第2を開けGキーを押さえチェックします。Gキーと第2を同じにしますがキーのガタツキ が大きい楽器は第2を強めにします。第1を作動したGの運指で第2が動かないことを確認してください
!:キーのガタツキが激しいと調整紙では分からないので吹きながらチェックします
G-B&Cの関連を正しく調節してから行ってください
●:[G-1ネジ][G-B&Cネジ]の下に遊びを作るネジです
?:緩いとHighA~Cの時に第2と第1が同時に開き、閉まりすぎるとGキーの運指で第1octが開かなくなります
!:Gキーのスプリングは通常弱くしてあるので遊びが分かりにくくなっています
オクターヴの関連の調整の最後に行います
●:[1-2ネジ]第1から第2への連絡調節ネジです
?:閉まりすぎると第2octが開きっぱなしになり、緩すぎると第1octを押さえても第2octが開かなくなります
!:完全に緩めても遊びが作れない場合はネジ下のコルクを薄くするか取り除いてから調節します
[1ネジ]で1レバーの隙間調整を行ってから[1-2ネジ]の隙間調整を行います。
●:[1ネジ]第1レバーと第1カップの隙間調節のネジです
?:第1レバーを作動させ第1カップが動くまでに隙間があるように調節します。緩めすぎると隙間がなくなって Gキーを押したときに第1カップが開いてGより低音が鳴らなくなります。閉まりすぎていると第1レバーを押 しても第1カップとの連絡に大きな遊びができて動きが悪くなります
!:大きく締めすぎると[1-2ネジ]の下に隙間が出来なくなります
●:[第3ネジ]楽器の裏側にある第3オクターヴキーの調節ネジ
?:第3octを使う運指でHighEからHighG#の発音と音抜けとピッチを調節するネジで(0.2~0.5mm)に開くよ うに調整しますが、吹き方やリードで開きは変わるので好みの妥協点を見つけてください
!:緩めすぎると第3octを作動させた時に第1octレバーに接触します
●:[Hキーネジ]オートマチックはボディ又はオクターヴ連絡キーの上にあります
?:HighC#、HighD、HighEbのピッチと音抜けを調節するネジで、オクターヴ連絡キーの上にHキーネジがある 場合は、他のネジ調整が終わるまで緩めておき、最後に調節します。調節方法は最初にHighDの音が楽に出せ る状態に開きを調節し、次に音抜けやピッチを考えて多少開きを変更します。位置が決まったらHighC#の音 抜けとピッチをチェックします。HighC#&Dの両方の妥協点を見つけてください。最後にHighEbが出しやすい かチェックします。HighEbはさらに開きを狭くしないと出にくい音です。
!:オートマチックの場合、HighEbの運指でG#キーを用いるため極力Hキーの開きを狭くします
HighC#、HighDのピッチや音抜けはLowC-Eネジで行い、Eキーが塞がらないように加減します
●:[A-Cネジ]重要。左手中指で押さえるAキーとCカップの調整ネジ
?:楽器を使用していると緩みやすいネジで、緩むと中音Bの運指の時にCタンポが浮いて鳴りやピッチが悪くなり ます。逆に閉まりすぎていると中指を強く押さえないとA以下が出にくくなります
!:若干Cタンポの塞がりを緩めにするのがこつです
●:[C音調ネジ]Cカップに付いているネジ。ロイヤルなどに装備
?:中高音Cのピッチ用で高い場合にのみ締めます
!:締めすぎに注意しましょう
●:[B-Cネジ]重要。CカップとBカップの調節ネジ
?:同じ状態に調節します。緩いとCタンポが浮いてしまいHの音が悪くなります。閉まりすぎているとBタンポが 浮いたままでG以下が鳴らなくなります。そのため、心持ちCタンポの方を弱めにします
!:締めすぎに注意しましょう
●:[F#-B&C連絡ネジ]重要。F#キーとB&Cカップを塞ぐネジで上管メインの3つのネジよりも離れています
?:緩むとF#-B&C連絡キーと下管のF#キーの隙間が無くなりB&Cタンポが浮いたままでABHのピッチが取れな くなります。閉まりすぎるとB、Cのピッチが低く音抜けが悪くなります。
!:緩めすぎに注意。40年以上前のロレーやラウビンは[F#-BC連絡ネジ]の動かし方が逆になります
F#-B&C連絡キーとF#キーとの状態[隙間または遊び]が重要です
●:[Ab-A&Bbネジ]オクターヴの連絡キーの上についています
?:下管連絡キーを作動させB&Cカップを開け、Abレバーを押さえ、AキーとBbカップが閉まるよう調節します
!:このネジはHighF#以上の運指に影響します
必ず[G-B&Cネジ]の前にチェック又は調節します
●:[G-B&Cネジ]最重要。GキーとB&Cカップのネジです。メーカーで位置が異なります
?:緩いとF#以下が出にくく、閉まりすぎるとGキーを強く押さえないと鳴らなくなります。調節はGキーとBカッ プで行います。Cカップはキーのガタツキにより通常は軽く塞ぎようになります
!:[Ab-A&Bb調節ネジ]を調整してから行います。[G-B&Cネジ]は特に狂いやすので常にチェックが必要です
■:[Aネジ]Aのピッチ調節のネジ。多くの楽器はコルクの厚みで調節します
?:締めるとAは低く詰まってきます。緩めると高く明るい音になります
!:締めすぎないように
■:[G#-A小ネジ]Ab-Btrキーに付いている小さなネジです
?:H、Cのピッチ調整に用い、締めるとAキーが下がりHとG#のピッチが低くなり中音Cの音が高くなります。緩 めるとHとG#のピッチは高く中音Cは低くなります。G#のピッチはF#キータンポの開き具合でも変わります
!:締めすぎ、緩めすぎは厳禁です
*調節の順番(以下のネジ以外は単独で調節します)
①左手に上管を逆さに持ち左手親指でF#-B&C連絡キーを押さえB&Cのカップを開けます。△調整紙をCタンポと
ト-ンホ-ルの隙間に入れ「F#-B&C連絡キー」を離し調整紙を引き抜きます。次にBキ-も同様にチェックし
ます。Bカップの方がCカップよりも調整紙の抵抗感を強く感じる場合は[B-Cネジ]を締め、Cカップの方が強く
感じる場合は[B-Cネジ]を緩めてください。同じになったらBカップが強く閉まらないように[B-Cネジ]を時計
で3分程緩めてください
②[F#-B&C連絡ネジ]部を押さえF#-B&C連絡キーの下に(4つ折や丸めた紙、コルク等)を挟んでB&Cカップが開
いた状態になるよう固定して[A-Cネジ]を調節します。方法はAキ-を押さえてCキ-が塞がるかチェックしま
す。Cキ-はタンポが小さくスキンタンポも多いのでCキ-が少し弱く感じるように調整します
③[2ネジ]と[オクターヴ連絡キーに繋がっているHネジ]を1回転緩めておいて、調節後に元に戻します
④[Ab-Bbネジ]Aキ-の開きをGキ-より同じか開きめに調節します。中音Hを吹きながらピッチが正しい状態に調
節します。あまり開くとCが低くなったり、Aキーの一部がボディと接触して調節が難しくなります
⑤B&Cのカップを開いた状態で[Ab-A&Bbネジ]を使ってAbキーを押してAキーとBカップが同じように閉まるよう
に調節します。AキーとBカップの関係は同じ強さで塞がります
⑥同様にGキーを押さえ[G-B&Cネジ]を調節します。Bキ-はタンポが小さくスキンタンポも多いのでGキーに比べ Bキ-の方が少し弱く感じるように調整します。この部分は吹きながら調節することを勧めます
⑦右手人差し指付け根で操作するAb-AtrレバーとG#カップ間に隙間が必要で、隙間がないとG#(Ab)キーが浮い
たままになります。遊びがない場合は隙間のコルクを取ってください
*オクターヴの調節
①[2ネジ]で第1レバーを作動させGキーと第2カップの調節をします。この時に第2カップが少し強く感じるよう
に調節しますがGキ-を押さえる力加減でも変わります。
②[G-第1ネジ]でGキ-と第1カップの隙間調整を行います。[G-1ネジ]を締めていくとGキ-とオクターヴ連絡キ
-に伸びる長いパイプとの隙間、そしてAb-Bbトリルのアームと長いパイプとの隙間2箇所が大きくなります。
隙間が大きいと効果が少なく隙間がないと第1レバーを押したときに第1、第2双方が開いてしまいます
③[1ネジ]で第1レバ-と第2カップを繋ぐ2つのキ-の間にあるネジとネジ下との間に隙間に作ります。 隙間がないと第2カップが開いたままになります
④[オクターヴ連絡キー]で第1ネジの付いたキーと第2カップに繋ぐキ-の隙間を作る役目をします。 隙間がないと第1レバーを押したときに第1、第2両方が開いてしまいます
⑤最後に[Hネジ]を調節します
*下管の調整(上管とのジョイントに近い側から)
●:[F#-G#trネジ]コルクの厚みで調節する楽器もあります
?:G#キーを作動させた状態でF#よりも低い音を出すことが出来ます。この調節ネジは緩むとトリルが出来なく なります。反対にきついとF#キーを強く押さないとF#以下の低い音が出にくくなります
!:上下管のジョイント部分がぐらついていると調節出来ないので、ぐらつきを直してから調節します
●:[F#ネジ]F#キーに付いている開きを調節するネジです
?:締めるとG音が低く全体に暗い音色になり、緩めると高めで明るい音色になります
!:締めすぎるとF#と上管連絡キー間の隙間がなくなりバランスが狂います。[F#-B&Cネジ]との関連が必要です
●:[F#-B&Cネジ]F#キーとE-F#の連絡キーの隙間を調節するネジです
?:[F#ネジ]でF#キーの開きを調節後、F#-B&C連絡キー下のコルクが下管のボディに接触するように[F#-B&Cネ ジ]で調節します。[F#-B&Cネジ]とF#-B&C連絡キーの間に隙間がある場合はネジを締め、F#-B&C連絡キー がボディから浮いている場合は緩めます
!:どのネジを動かすかはGピッチ次第で[F#-B&Cネジ]は[F#ネジ][E-F#ネジ]とバランスを見て調節します
●:[E-F#ネジ]BとCの音色を変える運指が使えます
?:EキーやDキーを作動させてもBとCの音が出ます。F#キーと同じか少し少ない動きに調節します
!:楽器によってF#キーとEキーの動きが全く同じに動くことが難しい場合があり妥協点を見つけてください
[E-F#ネジ]は[F#-B&Cネジ]や[F#ネジ]と密接な関係にあります。バランスを取りながら調節してください
■:[C-Dtrネジ]特に必要ではありません。マリゴなどに装備
?:右手C-Dトリル用のピッチ変更のネジで、閉まりすぎるとC-Dトリルの際にDのピッチが低くなります
!:特になし
■:[左Fネジ]左Fの替え指で動きの遊びをなくすネジです
?:左Fレバーを押さえFキーを作動させた際にわずかな遊びがあるように調節します
!:閉まりすぎているとFキーが開きっぱなしになるのでそのときは緩めてください
●:[E-F#ネジ]重要。EキーとF#リゾカップを調節します
?:Eキ-を押さえた際にF#キーとEキーの間の小さなF#リゾカップが閉まるように調節します。緩いとEから下 が鳴り難くなり、締めすぎるとEキーを強く押さえないとEが鳴らなくなります
!:F#リゾカップがやや弱くなるように調節します。強すぎるとEキーを強く押さえないと鳴らなくなります
[フォークFネジ]のネジが締まりすぎていると[E-F#ネジ]調節は出来なにので、分かりにくい場合は[フォーク Fネジ]を緩めてから[E-F#ネジ]を調節し、設定後に[フォークFネジ]を元の状態に戻します
●:[D-F#ネジ]重要。フォークFの音が正しく出るように調節するネジです
?:DキーとF#リゾカップの調整で、緩いとフォークFの音がぼやけてうわずります
!:閉まりすぎだとDキーを強く押さえないとD以下が出にくくなります。[E-F#ネジ]と同じ調節にします
●:[フォークFネジ]最重要。Eキ-とフォークFリゾカップとの調整をします
?:このネジが緩むと低音D以下が出にくくなり、閉まりすぎているとEキーを強く押さえなければなりません
!:[フォークFネジ]は吹き手の押さえる力やキーのガタツキで変わるため、吹きながら調整してください
[E-F#ネジ]が正しい状態に調整できていないと[フォークFネジ]の調節は難しくなります
●:[E音調ネジ]Dキーに付いているネジでフォークFリゾカップと連動しています
?:このネジを締めると全体に暗い音になりEとフォークFのピッチは低くAが安定しますが中音Fが不安定になりま す。緩いと楽器の性格が明るくEとフォークFのピッチが高くなりますが中音Fが安定します
!:緩めすぎ、締めすぎに注意してください
■:[バナナキーネジ]特に必要としません。マリゴなどに装備
?:多少緩んでいたほうが無難です。閉まりすぎているとLowC#との連動に遊びが出来てしまいます
!:閉まりすぎているとLowCレバーが下がってDのピッチが低くなり、中音Fが安定しなくなります
*調節の順序
①[E-F#ネジ]で右手の中指でEキ-を押さえたときにF#リゾカップが閉まるように調節します。吹いてみてE音が
出にくいときは調整紙をF#リゾカップとホ-ルの間に挟んで強ければわずかに緩め、弱ければわずかに締めま
す。このネジはフォークFリゾカップの関連ネジと密接に関係しているので、フォークFリゾカップの調節ネジ
を10分ほど緩めてから行ってください。調整後にフォークFリゾカップの調節ネジを元の位置に戻してくださ
い。後で正確に調節します。
②[フォークFレジ]でEキ-とフォークFリゾカップとの調整をします。このネジが緩んでいると低音Dから下の音
が出にくくなります。まず、Dキ-を押さえてフォークFリゾカップを開けた状態にします。次に調整紙をフォ
ークFリゾカップとホ-ル間に挟んでEキ-を押さえてチェックします。力加減はフォークFリゾナカップが極
軽く塞がっているようにします。強いと演奏時にEキ-を強く押さえなければならなくなります。吹きながら
試してください。
③[D-F#ネジ]でフォークFのピッチを安定させます。この調整は厳密ではないので少し緩めた状態から吹いてフ
ォークFの音が安定したところで止めてください。
④[D&E-B&Cネジ]でBとCの音をF#キー以外のEキーやDキーでも出るように調節します。全く同じにした後にわず
かに緩めます。[F#-B&Cネジ]はF#キーを作動させた時にF#-B&C連絡キーとの隙間が大きい場合は締めます。 その時は[F#-B&Cネジ]をもう一度調整しなければなりません。[F#ネジ]はF#のピッチや全体の音色を調節後は なるべく動かさないで下さい。締めすぎるとF#-B&C連絡キーが作動した状態になり、楽器の組立て時に上管の キ-とぶつかってしまいます。
*低音域の調整はネジの閉めすぎに注意が必要です。緩めすぎるとトリルが出来なくなります
●:[D#-Etrネジ]LowB(H)、Bbレバーの長いキーの中央側面に付いている[小ネジ]
?:締めすぎると右Ebよりも左Ebの方が低く全体的に音が出にくくなります。緩いD#-Etrが出来なくなります
!:ネジが硬くて動かいないことが多いので楽器に傷をつけないよう注意しましょう
●:[LowC-Dネジ]HighC#、Dのピッチ補正ネジで、ロイヤル等に装備されています
?:締めるとHighC#とDのピッチが低く、緩めると高くなりますがLowC音調ネジほどの効果はありません
!:締めすぎないことです。LowC音調ネジが優先です。このネジは微調整や音色の変化に用いてください
●:[LowCネジ]HighC#&Dの音抜けとピッチに関わるネジです
?:LowCキーを押さえたときにEキーが塞がるように調整しますが、Hキー中央の穴を丸細くして中音C#、Dの雑 音を消した楽器や、HighDの運指で左手人差指をHキ-から離す場合はLowCキ-を押したときにEキ-が少し 開いた状態に調節します。開きが大きいほどHighC#&D音が抜けてピッチが高くなります
!:締めすぎるとLowCから下の低い音が出なくなります
うまく出来ないときはLowC-Ebトリルネジが締まりすぎていので[LowC-Ebtrネジ]を半回転緩めておきます
●:[Fリゾネジ]メーカーによって位置が異なります
?:通常はFリゾナンスキーの上に付いていて締めるとFはより安定し、音色は明るくピッチが高めになります
!:締めすぎに注意してください
●:[フォークFピッチネジ]フォークFのピッチ調節ネジでロイヤルに装備されています
?:通常は解除した状態になっていて締めると低くなります
!:×
●:[LowC-Ebtrネジ]LowC-Ebトリルのためのネジです
?:左Esキ-を作動させたままでLowC#キ-を押してチェックします。これはネジを少し緩めて吹きながら徐々に 締めてちょうど良いところで止めます。締めすぎるとLowCから下が出にくくなります
!:Ebカップのぐらつきが大きいは調節が難しくなります。(LowCネジ)が閉まりすぎだと調節できません
●:[LowH-LowCネジ]LowHの運指の際にLowCレバーを押えなくてもLowHの音が出せます
?:LowCレバーを押えないLowHの運指を用いて[LowH-LowCネジ]で調節します
!:締めすぎると指をしっかり押えないと音が出しにくくなります。
■:[LowC#ネジ]C#とDのピッチを調節するネジです。マリゴに装備されています
?:締めるとC#とDのピッチが低くなり、緩めると高くなります
!:締めすぎるとLowCカップの開きが狭くなり中音Fがひっくり返るようになります
●:[LowH-C#trネジ]LowHとLowC#のトリル調節用ネジです
?:LowHキ-を作動させたままでLowC#キ-を押してチェックします
!:締めすぎるとLowH&Bが出にくくなります
●:[Ebネジ]LowB&Ebの長いキーの無駄な動きをなくすネジです
?:閉まりすぎている(遊びがない)とEsキ-が浮きっぱなしになります。ただし、緩みすぎていると長いキーの ぐらつきが大きく左手Ebレバーを作動させたEbのピッチが低くなります
!:楽器によって[LowH-Bネジ]の動きが異なるので注意してください
[LowH-Bネジ]を調節したときに[Ebネジ]とボディの板バネ(フラットスプリング)間に遊びが必要です。な いとEbカップが開いた状態になるので[Ebネジ]を緩めて遊びを作ります。
●:[LowB-Hネジ]LowBカップ、[LowH-Bネジ]LowHカップそれぞれの動きを調節するネジです
?:LowBカップ用[LowH-Bネジ]と、LowHカップ用[LowB-Hネジ]に分かれます。いずれもLowBの調節用ですが 動きが逆になります。[LowB-Hネジ]を締めるとLowBカップがLowHカップよりも速く強く閉まり、緩めると 遅く弱く閉まります。[LowH-Bネジ]だとLowHカップが速く強く閉まり、緩めると遅く弱く閉まります
!:2つの見分け方はLowHレバーの裏側にLowBレバーの裏側にキーが繋がっているのが[LowB-Hネジ]です
ベルの[LowBネジ]と下管側の連絡キーとの接続部に隙間をつくります
●:[LowBネジ]ベルに付いている1∼2つのネジで多くの楽器は付いていません
?:基本はネジ下の下管側のキーとの間にわずかな隙間を作ります
!:締めすぎるとLowBリゾカップが浮いてしまい、中音Eのピッチが高く鳴りがこもってしまいます
[LowB-Hネジ][LowH-Bネジ]との関連がありますが遊び調整を優先してください
*組み立てた状態での調整(上管&下管調整)(下管&ベル調整)
(上管&下管調整)
①F#キーを軽く押さえて上管の接続キー間の遊びを確認してください。遊びが無い又は大きい場合は[F#-B&C連絡 ネジ]調節します。締めると隙間は大きくBとCのピッチが低く、緩めると高くなりますが緩めすぎると遊びがな くなります。古いロレーやラウビンは動きが反対になります。
②F#の音が出るかチェックします。強く押さえないと出ない場合は[F#-G#trネジ]を緩めます。出るようになっ
たらG#レバーを抑えた状態でFisの音を出してください。G#のタンポが浮いた状態の場合は[F#-G#trネジ]を音
が出るまで締めます。このときに組み立てがずれていたり、ジョイントコルクが減ってぐらついていると調節
できないので、その場合は少し緩めた状態にしてください。
③右C-Dトリル調整を確認します。上管のC-Dトリル接続キーと下管のキーとの間に隙間があるかチェックしてく
ださい。隙間がないとトリルキ-が作動した状態になり全く音が出なくなります。
④下管の一番長いキーのベル側に近いEbカップとC#カップの間で外側に大きく飛び出た[LowB-Hネジ]を調節し
ます。このネジを締めるとLowBカップ(またはLowHカップ)が早く塞がり、緩めると反対になります。締めす
ぎるとLowBとEbレバー(またはLowHとEbレバー)の動きに遊びがなくなり、Ebレバーのカップが浮いた状態 になるので注意が必要です。この部分はLowBキ-の隙間調整やLowH&Bの接続調整が関わってきます。
⑤ベルのキーに「ネジなし」[LowBネジ][LowBネジ&LowHリゾネジ]の3パターンがあり、それぞれ下管とベルを
組んだ時にキー間に接続部に隙間が必要です。隙間がないとLowBbリゾカップが開きっぱなしになります。隙
間を作るには調節ネジを緩める、コルクを削る、キーを曲げるかのいずれかを選択します。[LowBネジ]&[Low
Hリゾネジ]とも閉めすぎるとLowBbリゾカップが開きっぱなしになります。
6.ロレ-オ-トマチックの調整方法(ハーモニックが使え、8ネジと6スプリングで調整されています)
(上管の調整)
*ロレーオートマチックのニードル(針)スプリング&フラット(板)スプリング
●:[第2スプリング]第2カップを開けるための弱いニードルスプリング
?:ロレーオートマチックシステムの中では最も弱いニードルスプリングです
!:強くしてはいけません。ただし、[ハーモニック スプリング]よりも弱くなくてはいけません
●:[ハーモニック スプリング]第2カップを閉じるためのニードルスプリング
?:[第2スプリング]よりも強く[第1レバースプリング]よりも弱くします
!:押さえ、押さえられるスプリングなので強さの加減が大切です。[第2スプリング]よりも少し強くします
●:[第1スプリング]第1カップを開けるための弱いニードルスプリング
?:ロレーオートマチックシステムの中では最も弱いニードルスプリングです
!:強くしてはいけません。5つのスプリングと密接な関係です
●:[第1レバー スプリング]第1カップ、第2カップを閉じる強いニードルスプリング
?:第2カップと第1カップの両方を閉じるニードルスプリングです
!:強すぎると第2カップ、第1カップのタンポがトーンホールに食い込んで動かなくなります
[第2スプリング]+[第1スプリング]よりも強いニードルスプリングです
●:[シーソー フラットスプリング]シーソー裏にある長いフラットスプリング
?:第1レバーとGキーを作動させた状態で、第2カップを完全に閉じるためのやや強いフラットスプリングです
!:[シーソー フラットスプリング]は[第2スプリング]より強く[oct連絡キースプリング]よりも弱くします
●:[オクターヴ連絡キースプリング]第1カップを閉じるためのフラットスプリング
?:第1レバーとGキーを押したときに第1カップを閉じ、第2カップが開くための強いニードルスプリングです
!:強すぎると左手薬指の負担が大きくなります。スプリングの中で一番強いニードルスプリングです
*シーソーの3つのネジはそれぞれ密接な関係にあるため同時に調節することが多いので要注意です
●:[シーソー2ネジ]シーソーで第2カップを押えるためのネジです
?:第1レバーとGキ-を押さえた状態でシーソーが第2カップを押えます。その際に[シーソー2ネジ]とoct連絡キ ーのコルク間に隙間が出来るよう[シーソー2ネジ]を調節します。締めすぎると遊びが大きく第2カップの開き が小さく遊びが増えます。緩め過ぎると遊びがなくなりGキー作動時に第2カップが閉まらなくなります
!:このネジは狂い難いので動かすことはほとんどありません
[シーソーGネジ]が締めすぎていると[シーソー2ネジ]も締めなければなりません
●:[シーソーGネジ]
?:第1レバーを押さえ第2カップが開けた際、Gキーを押すと第2カップが閉じます。その際[シーソーGネジ]とそ の下のoct連絡キーに隙間が必要です。締めすぎると遊びが大きく第2カップの開きが小さくなりGキーを押す と2段階に力が変化し遊びも増えます。緩めすぎると遊びがなくなりGキーを押さえた際に第2カップが閉まら なくなります。ネジが完全に緩まな又は締め切れない場合は[シーソー第1ネジ]を調節します
!:動かないようにネジが硬くなっています。GキーとBカップ&Aキーの関係を行ってから調節してください
●:[シーソー第1ネジ]
?:[シーソー第2ネジ]と[シーソーGネジ]では調整できない場合に用いるネジです。締めると第1カップ、第2カッ プの開きは小さくなり、全体の遊びが増えます。反対に緩めすぎると両方のカップが機能しなくなります
!:締めすぎると第2カップ、第1カップの動きがわずかになります。3つのネジの中では一番最後に調節します
*ハーモニックキー(第2レバー兼用)に並んだネジ(ハーモニックキーなしのオートマチックもあります)
●:[ハーモニック第2ネジ]
?:第1レバーを作動させない状態で第2カップが正常に閉まるように調節するネジです
!:第1レバーとの隙間はわずかで第2カップを第1カップと均等にするのがコツです
●:[ハーモニック第1ネジ]
?:第1レバーを作動させない状態で第1カップが正常に閉まるように調節するネジです
!:第1レバーとの隙間はわずかで第1カップを第2カップと均等にするのがコツです
*通常のオートマチックと同じネジ
●:[第3ネジ]楽器の裏側にある第3オクターヴキーの調節ネジ
?:第3octを使う運指でHighEからHighG#の発音と音抜けとピッチを調節するネジで(0.2~0.5mm)に開くよ うに調整しますが、吹き方やリードで開きは変わるので好みの妥協点を見つけてください
!:緩めすぎると第3octを作動させた時に第1octレバーに接触します
●:[Hキーネジ]オートマチックはボディ又はオクターヴ連絡キーの上にあります
?:HighC#、HighD、HighEbのピッチと音抜けを調節するネジで、オクターヴ連絡キーの上にHキーネジがある 場合は、他のネジ調整が終わるまで緩めておき、最後に調節します。調節方法は最初にHighDの音が楽に出せ る状態に開きを調節し、次に音抜けやピッチを考えて多少開きを変更します。位置が決まったらHighC#の音 抜けとピッチをチェックします。HighC#&Dの両方の妥協点を見つけてください。最後にHighEbが出しやすい かチェックします。HighEbはさらに開きを狭くしないと出にくい音です。
!:オートマチックの場合、HighEbの運指でG#キーを用いるため極力Hキーの開きを狭くします
HighC#、HighDのピッチや音抜けはLowC-Eネジで行い、Eキーが塞がらないように加減します
●:[A-Cネジ]重要。左手中指で押さえるAキーとCカップの調整ネジ
?:楽器を使用していると緩みやすいネジで、緩むと中音Bの運指の時にCタンポが浮いて鳴りやピッチが悪くなり ます。逆に閉まりすぎていると中指を強く押さえないとA以下が出にくくなります
!:若干Cタンポの塞がりを緩めにするのがこつです
●:[C音調ネジ]Cカップに付いているネジ
?:中高音Cのピッチ用で高い場合にのみ締めます
!:締めすぎに注意しましょう
●:[B-Cネジ]重要。CカップとBカップの調節ネジ
?:同じ状態に調節します。緩いとCタンポが浮いてしまいHの音が悪くなります。閉まりすぎているとBタンポが 浮いたままでG以下が鳴らなくなります。そのため、心持ちCタンポの方を弱めにします
!:締めすぎに注意しましょう
●:[F#-B&C連絡ネジ]重要。F#キーとB&Cカップを塞ぐネジで上管メインの3つのネジよりも離れています
?:緩むとF#-B&C連絡キーと下管のF#キーの隙間が無くなりB&Cタンポが浮いたままでABHのピッチが取れな くなります。閉まりすぎるとB、Cのピッチが低く音抜けが悪くなります。
!:緩めすぎに注意。40年以上前のロレーやラウビンは[F#-BC連絡ネジ]の動かし方が逆になります
F#-B&C連絡キーとF#キーとの状態[隙間または遊び]が重要です
●:[Ab-A&Bbネジ]オクターヴの連絡キーの上についています
?:下管連絡キーを作動させB&Cカップを開け、Abレバーを押さえ、AキーとBbカップが閉まるよう調節します
!:このネジはHighF#以上の運指に影響します。必ず[G-B&Cネジ]の前にチェック又は調節します
●:[G-B&Cネジ]最重要。GキーとB&Cカップのネジです。メーカーで位置が異なります
?:緩いとF#以下が出にくく、閉まりすぎるとGキーを強く押さえないと鳴らなくなります。調節はGキーとBカッ プで行います。Cカップはキーのガタツキにより通常は軽く塞ぎようになります
!:[Ab-A&Bb調節ネジ]を調整してから行います。[G-B&Cネジ]は特に狂いやすので常にチェックが必要です
●:[G#-A小ネジ]Ab-Btrキーに付いている小さなネジです。
?:ロレーオートマチックの場合、このネジが起点になるので、狂っていない限り触らないで下さい。このネジは H、Cのピッチ調整にも用い、締めるとAキーが下がることHとG#のピッチが低くなって中音Cの音が高くなり ます。逆に緩めるとHとG#のピッチは高く、中音Cは低めになります
!:締めすぎ、緩めすぎは厳禁です
●:[Ab-A小ネジ]HighF#用に付いている小さなネジです
?:HighF#で用いる特殊な小ネジですが[G#-A小ネジ]と交互に調節しなければならない最も難しいネジです。基 本は触らない事です。
!:締めすぎ、緩めすぎは厳禁です
*調節の順番(以下のネジ以外は単独で調節します)
①左手に上管を逆さに持ち左手親指でF#-B&C連絡キーを押さえB&Cのカップを開けます。△調整紙をCタンポと
ト-ンホ-ルの隙間に入れ「F#-B&C連絡キー」を離し調整紙を引き抜きます。次にBキ-も同様にチェックし
ます。Bカップの方がCカップよりも調整紙の抵抗感を強く感じる場合は[B-Cネジ]を締め、Cカップの方が強く
感じる場合は[B-Cネジ]を緩めてください。同じになったらBカップが強く閉まらないように[B-Cネジ]を時計
で3分程緩めてください
②[F#-B&C連絡ネジ]部を押さえF#-B&C連絡キーの下に(4つ折や丸めた紙、コルク等)を挟んでB&Cカップが開
いた状態になるよう固定して[A-Cネジ]を調節します。方法はAキ-を押さえてCキ-が塞がるかチェックしま
す。Cキ-はタンポが小さくスキンタンポも多いのでCキ-が少し弱く感じるように調整します
③[2ネジ]と[オクターヴ連絡キーに繋がっているHネジ]を1回転緩めておいて、調節後に元に戻します
④[Ab-Bbネジ]Aキ-の開きをGキ-より同じか開きめに調節します。中音Hを吹きながらピッチが正しい状態に調
節します。あまり開くとCが低くなったり、Aキーの一部がボディと接触して調節が難しくなります
⑤B&Cのカップを開いた状態で[Ab-A&Bbネジ]を使ってAbキーを押してAキーとBカップが同じように閉まるよう
に調節します。AキーとBカップの関係は同じ強さで塞がります
⑥同様にGキーを押さえ[G-B&Cネジ]を調節します。Bキ-はタンポが小さくスキンタンポも多いのでGキーに比べ Bキ-の方が少し弱く感じるように調整します。この部分は吹きながら調節することを勧めます
⑦右手人差し指付け根で操作するAb-AtrレバーとG#カップ間に隙間が必要で、隙間がないとG#(Ab)キーが浮い
たままになります。遊びがない場合は隙間のコルクを取ってください
*ロレーオートマチックのオクターヴのネジ調整とスプリング調整
①[ハーモニック第2ネジ]と[ハーモニック第1ネジ]を調節します。まず、両方を半分から1回転閉めます。そう
すると、第1レバーとレバーに接続しているキーとの間に隙間が出来ます。この隙間がないとキーを作動して
いないときに第2カップが、Gキーを押さえたときに第1カップが開いてしまいます。隙間が大きいと第1レバー
からのつながりがわずかになり、第1カップの開きが少なくなります。隙間はかろうじてある位が最適です。 [ハーモニック第2ネジ]と[ハーモニック第1ネジ]を隙間を見ながら順番に緩めます。
②[シーソー第2ネジ][シーソーGネジ][シーソー第1ネジ]の3つを調節します。まず、全てのキーを作動させない
状態からGキーだけを押して[シーソーGネジ]の下に調整紙を入れてGキーを離します。この状態で調整紙を軽
く引っ張ってみて動かないことを確認してください。「すっと」抜ける場合は[シーソー第1ネジ]を閉めます。
次にもう一度Gキーを押すとシーソーも動きますが、Gキーを押したときに動く長い連動キーと[シーソー第1ネ
ジ]との間に隙間が必要です。隙間がない場合は[シーソー第2ネジ]を閉めます。逆に、Gキーの動きよりも早
くシーソーの動きが止まる場合は[シーソー第2ネジ]を緩めます。[シーソー第2ネジ]では隙間が調節できない
場合は[シーソーGネジ]を閉める、または緩めてください。ただし、[シーソーGネジ]はメインの連結との調整
もあるため、上管全体の調整をやり直さなければならなくなるので注意が必要です。
③スプリング調整は第1カップ、第2カップが正常に開かない、または閉じない場合だけ調節してください。第1
カップ、第2カップがくっついて上がってこない場合は第2カップの場合は[第2バネ]、第1カップの場合は[第1
バネ]をわずかに強くします。逆に第1カップ、第2カップのネジ調節が正常なのに閉まらない場合は[第1レバ
ーバネ]を強く、又は[第2バネ]か[第1バネ]が強い場合は弱くします。第1レバーとGキーを作動させたときに
第2カップの動きが鈍い、または閉まらない場合はシーソーキーをドライバーではずして、[シーソーバネ]を
大きく曲げてから取り付けます。第1カップ、第2カップの動きが鈍いまたは作動しない場合は[オクターヴ連
絡キーバネ]を強くします。
*メインとオクターヴ(Gキーから3箇所の遊びを確認しますが、無い場合は再度oct調整が必要になります)
①Gキーを作動させますが、押さえはじめにGキーだけが「わずかに軽く動く」ことを確認してください。 その後、長いオクターヴ連絡キーが動き始めます。
②[下管連絡キー]を作動させた状態でAbキーを作動させますが、Abのレバーのみがわずかに動いてからBbタンポ
が動くことが条件です。この両方の(遊び)がないと不可です。もし、遊びがない場合は、遊びが出来るまで
[シーソーGネジ]を締めます。逆に遊びが大きい場合は緩めます。ただし、[シーソーGネジ]はすでに調整済み
なので、もう一度オクターヴキーの微調整が必要になります。
③Gキーを完全に押さえ時にオクターヴ連絡キーと[シーソーGネジ]とが接触していないことを確認してくださ
い。当たっている場合は[シーソー第2ネジ]を締めます。反対に離れすぎている場合は緩めます。シーソーの
ネジを動かすとオクターヴの調整が狂うので再度オクターヴの微調整を行います。
*下管の調整(上管とのジョイントに近い側から)
●:[F#-G#trネジ]コルクの厚みで調節する楽器もあります
?:G#キーを作動させた状態でF#よりも低い音を出すことが出来ます。この調節ネジは緩むとトリルが出来なく なります。反対にきついとF#キーを強く押さないとF#以下の低い音が出にくくなります
!:上下管のジョイント部分がぐらついていると調節出来ないので、ぐらつきを直してから調節します
●:[F#ネジ]F#キーに付いている開きを調節するネジです
?:締めるとG音が低く全体に暗い音色になり、緩めると高めで明るい音色になります
!:締めすぎるとF#と上管連絡キー間の隙間がなくなりバランスを崩します。[F#-B&Cネジ]との調整が必要です
●:[F#-B&Cネジ]F#キーとE-F#の連絡キーの隙間を調節するネジです
?:[F#ネジ]でF#キーの開きを調節後、F#-B&C連絡キー下のコルクが下管のボディに接触するように[F#-B&Cネ ジ]で調節します。[F#-B&Cネジ]とF#-B&C連絡キーの間に隙間がある場合はネジを締め、F#-B&C連絡キー がボディから浮いている場合は緩めます
!:どのネジをどの程度動かすかはGのピッチ次第です
[F#-B&Cネジ]は[F#ネジ]や[E-F#ネジ]と密接な関係にあり、バランスを取りながら調節してください
●:[E-F#ネジ]BとCの音色を変える運指が使えます
?:EキーやDキーを作動させてもBとCの音が出ます。F#キーと同じか少し少ない動きに調節します
!:楽器によってF#キーとEキーの動きが全く同じに動くことが難しい場合があり妥協点を見つけてください
[E-F#ネジ]は[F#-B&Cネジ]や[F#ネジ]と密接な関係にあります。バランスを取りながら調節してください
■:[C-Dtrネジ]特に必要ではありません。マリゴなどに装備
?:右手C-Dトリル用のピッチ変更のネジで、閉まりすぎるとC-Dトリルの際にDのピッチが低くなります
!:特になし
■:[左Fネジ]左Fの替え指で動きの遊びをなくすネジです
?:左Fレバーを押さえFキーを作動させた際にわずかな遊びがあるように調節します
!:閉まりすぎているとFキーが開きっぱなしになるのでそのときは緩めてください
●:[E-F#ネジ]重要。EキーとF#リゾカップを調節します
?:Eキ-を押さえた際にF#キーとEキーの間の小さなF#リゾカップが閉まるように調節します。緩いとEから下 が鳴り難くなり、締めすぎるとEキーを強く押さえないとEが鳴らなくなります
!:F#リゾカップがやや弱くなるように調節します。強すぎるとEキーを強く押さえないと鳴らなくなります
[フォークFネジ]のネジが締まりすぎていると[E-F#ネジ]調節は出来なにので、分かりにくい場合は[フォーク Fネジ]を緩めてから[E-F#ネジ]を調節し、設定後に[フォークFネジ]を元の状態に戻します
●:[D-F#ネジ]重要。フォークFの音が正しく出るように調節するネジです
?:DキーとF#リゾカップの調整で、緩いとフォークFの音がぼやけてうわずります
!:閉まりすぎているとDキーを強く押さえないとD以下が出にくくなります。[E-F#ネジ]と同じ調節にします
●:[フォークFネジ]最重要。Eキ-とフォークFリゾカップとの調整をします
?:このネジが緩むと低音D以下が出にくくなり、閉まりすぎているとEキーを強く押さえなければなりません
!:[フォークFネジ]は吹き手の押さえる力やキーのガタツキで変わるため、吹きながら調整してください
[E-F#ネジ]が正しい状態に調整できていないと[フォークFネジ]の調節は難しくなります
●:[E音調ネジ]Dキーに付いているネジでフォークFリゾカップと連動しています
?:このネジを締めると全体に暗い音になりEとフォークFのピッチは低くAが安定しますが中音Fが不安定になりま す。緩いと楽器の性格が明るくEとフォークFのピッチが高くなりますが中音Fが安定します
!:緩めすぎ、締めすぎに注意してください
■:[バナナキーネジ]特に必要としません。マリゴなどに装備
?:多少緩んでいたほうが無難です。閉まりすぎているとLowC#との連動に遊びが出来てしまいます
!:閉まりすぎているとLowCレバーが下がってDのピッチが低くなり、中音Fが安定しなくなります
*調節の順序
①[E-F#ネジ]で右手の中指でEキ-を押さえたときにF#リゾカップが閉まるように調節します。吹いてみてE音が
出にくいときは調整紙をF#リゾカップとホ-ルの間に挟んで強ければわずかに緩め、弱ければわずかに締めま
す。このネジはフォークFリゾカップの関連ネジと密接に関係しているので、フォークFリゾカップの調節ネジ
を10分ほど緩めてから行ってください。調整後にフォークFリゾカップの調節ネジを元の位置に戻してくださ
い。後で正確に調節します。
②[フォークFレジ]でEキ-とフォークFリゾカップとの調整をします。このネジが緩んでいると低音Dから下の音
が出にくくなります。まず、Dキ-を押さえてフォークFリゾカップを開けた状態にします。次に調整紙をフォ
ークFリゾカップとホ-ル間に挟んでEキ-を押さえてチェックします。力加減はフォークFリゾナカップが極
軽く塞がっているようにします。強いと演奏時にEキ-を強く押さえなければならなくなります。吹きながら
試してください。
③[D-F#ネジ]でフォークFのピッチを安定させます。この調整は厳密ではないので少し緩めた状態から吹いてフ
ォークFの音が安定したところで止めてください。
④[D&E-B&Cネジ]でBとCの音をF#キー以外のEキーやDキーでも出るように調節します。全く同じにした後にわず
かに緩めます。[F#-B&Cネジ]はF#キーを作動させた時にF#-B&C連絡キーとの隙間が大きい場合は締めます。 その時は[F#-B&Cネジ]をもう一度調整しなければなりません。[F#ネジ]はF#のピッチや全体の音色を調節後は なるべく動かさないで下さい。締めすぎるとF#-B&C連絡キーが作動した状態になり、楽器の組立て時に上管の キ-とぶつかってしまいます。
*低音域の調整はネジの閉めすぎに注意が必要です。緩めすぎるとトリルが出来なくなります
●:[D#-Etrネジ]LowB(H)、Bbレバーの長いキーの中央側面に付いている[小ネジ]
?:締めすぎると右Ebよりも左Ebの方が低く全体的に音が出にくくなります。緩いD#-Etrが出来なくなります
!:ネジが硬くて動かいないことが多いので楽器に傷をつけないよう注意しましょう
●:[LowC-Dネジ]HighC#、Dのピッチ補正ネジで、ロイヤル等に装備されています
?:締めるとHighC#とDのピッチが低く、緩めると高くなりますがLowC音調ネジほどの効果はありません
!:締めすぎないことです。LowC音調ネジが優先です。このネジは微調整や音色の変化に用いてください
●:[LowCネジ]HighC#&Dの音抜けとピッチに関わるネジです
?:LowCキーを押さえたときにEキーが塞がるように調整しますが、Hキー中央の穴を丸細くして中音C#、Dの雑 音を消した楽器や、HighDの運指で左手人差指をHキ-から離す場合はLowCキ-を押したときにEキ-が少し 開いた状態に調節します。開きが大きいほどHighC#&D音が抜けてピッチが高くなります
!:締めすぎるとLowCから下の低い音が出なくなります
うまく出来ないときはLowC-Ebトリルネジが締まりすぎていので[LowC-Ebtrネジ]を半回転緩めておきます
●:[Fリゾネジ]メーカーによって位置が異なります
?:通常はFリゾナンスキーの上に付いていて締めるとFはより安定し、音色は明るくピッチが高めになります
!:締めすぎに注意してください
●:[フォークFピッチネジ]フォークFのピッチ調節ネジでロイヤルに装備されています
?:通常は解除した状態になっていて締めると低くなります
!:×
●:[LowC-Ebtrネジ]LowC-Ebトリルのためのネジです
?:左Esキ-を作動させたままでLowC#キ-を押してチェックします。これはネジを少し緩めて吹きながら徐々に 締めてちょうど良いところで止めます。締めすぎるとLowCから下が出にくくなります
!:Ebカップのガタツキが大きい場合や、(LowCネジ)が閉まりすぎていると調節が難しくなります
●:[LowH-LowCネジ]LowHの運指の際にLowCレバーを押えなくてもLowHの音が出せます
?:LowCレバーを押えないLowHの運指を用いて[LowH-LowCネジ]で調節します
!:締めすぎると指をしっかり押えないと音が出しにくくなります。
■:[LowC#ネジ]C#とDのピッチを調節するネジです。マリゴに装備されています
?:締めるとC#とDのピッチが低くなり、緩めると高くなります
!:締めすぎるとLowCカップの開きが狭くなり中音Fがひっくり返るようになります
●:[LowH-C#trネジ]LowHとLowC#のトリル調節用ネジです
?:LowHキ-を作動させたままでLowC#キ-を押してチェックします
!:締めすぎるとLowH&Bが出にくくなります
●:[Ebネジ]LowB&Ebの長いキーの無駄な動きをなくすネジです
?:閉まりすぎている(遊びがない)とEsキ-が浮きっぱなしになります。ただし、緩みすぎていると長いキーの ぐらつきが大きく左手Ebレバーを作動させたEbのピッチが低くなります
!:楽器によって[LowH-Bネジ]の動きが異なるので注意してください
[LowH-Bネジ]を調節したときに[Ebネジ]とボディの板バネ(フラットスプリング)間に遊びが必要です。な いとEbカップが開いた状態になるので[Ebネジ]を緩めて遊びを作ります。
●:[LowB-Hネジ]LowBカップ、[LowH-Bネジ]LowHカップそれぞれの動きを調節するネジです
?:LowBカップ用[LowH-Bネジ]と、LowHカップ用[LowB-Hネジ]に分かれます。いずれもLowBの調節用ですが 動きが逆になります。[LowB-Hネジ]を締めるとLowBカップがLowHカップよりも速く強く閉まり、緩めると 遅く弱く閉まります。[LowH-Bネジ]だとLowHカップが速く強く閉まり、緩めると遅く弱く閉まります
!:2つの見分け方はLowHレバーの裏側にLowBレバーの裏側にキーが繋がっているのが[LowB-Hネジ]です
ベルの[LowBネジ]と下管側の連絡キーとの接続部に隙間をつくります
●:[LowBネジ]ベルに付いている1∼2つのネジで多くの楽器は付いていません
?:基本はネジ下の下管側のキーとの間にわずかな隙間を作ります
!:締めすぎるとLowBリゾカップが浮いてしまい、中音Eのピッチが高く鳴りがこもってしまいます
[LowB-Hネジ][LowH-Bネジ]との関連がありますが遊び調整を優先してください
*組み立てた状態での調整(上管&下管調整)(下管&ベル調整)
(上管&下管調整)
①F#キーを軽く押さえて上管の接続キー間の遊びを確認してください。遊びが無い又は大きい場合は[F#-B&C連
絡ネジ]調節します。締めると隙間は大きくBとCのピッチが低く、緩めると高くなりますが緩めすぎると遊び
がなくなります。古いロレーやラウビンは動きが反対になります。
②F#の音が出るかチェックします。強く押さえないと出ない場合は[F#-G#trネジ]を緩めます。出るようになっ
たらG#レバーを抑えた状態でFisの音を出してください。G#のタンポが浮いた状態の場合は[F#-G#trネジ]を音
が出るまで締めます。このときに組み立てがずれていたり、ジョイントコルクが減ってぐらついていると調節
できないので、その場合は少し緩めた状態にしてください。
③右C-Dトリル調整を確認します。上管のC-Dトリル接続キーと下管のキーとの間に隙間があるかチェックしてく
ださい。隙間がないとトリルキ-が作動した状態になり全く音が出なくなります。
④下管の一番長いキーのベル側に近いEbカップとC#カップの間で外側に大きく飛び出た[LowB-Hネジ]を調節し
ます。このネジを締めるとLowBカップ(またはLowHカップ)が早く塞がり、緩めると反対になります。締めす
ぎるとLowBとEbレバー(またはLowHとEbレバー)の動きに遊びがなくなり、Ebレバーのカップが浮いた状態 になるので注意が必要です。この部分はLowBキ-の隙間調整やLowH&Bの接続調整が関わってきます。
⑤ベルのキーに「ネジなし」[LowBネジ][LowBネジ&LowHリゾネジ]の3パターンがあり、それぞれ下管とベルを
組んだ時にキー間に接続部に隙間が必要です。隙間がないとLowBbリゾカップが開きっぱなしになります。隙
間を作るには調節ネジを緩める、コルクを削る、キーを曲げるかのいずれかを選択します。[LowBネジ]&[Low
Hリゾネジ]とも閉めすぎるとLowBbリゾカップが開きっぱなしになります。
7.リングキーの調整方法
カバーキーのセミオート、オートマチックの項目を参照してください。
リングキーはトーンホールを直接指で押さえるために狂いにくく調整も厳密ではありません。
合わせるコツは、ユーザーの指の大きさや押さえる力で変わるので吹きながら行ってください。
リングキーのオーボエは上管Aキー、Gキー、下管Dキーの3箇所がリングキーになっています。
古い楽器の中にはクラリネットのようにF#キー、Eキーもリングになっています。
カバーキーと違うところはGリングとG#レバーが連動していてオクターヴキーにまで影響するキーと、右手人差 し指の付け根で作動させるAb-Atrキーの代わりにカップ(タンポ)の付いたAb-Btrキーがついています。
正しい状態はG#レバーの裏側とGリングから伸びている少しカ-ブした細い棒の先とがわずかに隙間を保ってい る状態です。また、GキーがリングキーなのでAb-BtrがG#-Atrレバーに付いています。
キ-を作動していない状態で接触していると第1カップが浮いた状態になります。ありすぎるとG#のピッチが高 くなります。この調整は第1ネジで調節します。締めると隙間は大きく、緩めると少なくなります。
8.イングリッシュ・ホルン(以下EH)又はコールアングレ(フランス語)&オーボエダモ-レの調整方法
キーの名称や運指はオーボエと同じ表記です(C管)。EH、ミュゼットはF管、オーボエダモーレはA管なので実 際の名称や運指よりもそれぞれ5度、3度低い音になります。最低音はフランス系はLowH(エクステンションキ ー装備でLowBキー付きもあります)、ジャーマン系は長いベルを持つオーボエと同じLowBまでです。
EHやオーボエダモーレの調整方法は基本的にオーボエ(セミオートマチック、オートマチック)と同じです。 そのため、全体の調整はオーボエ(セミオート、オートマチック、ロレーオート)を参照してください。 ここではイングリッシュホルンやダモーレの独特な機構を説明します。 その半面オーボエほど微妙ではないので全体にわずかですが緩く(弱めに)合わせておくとよいでしょう。
EHとオーボエダモーレはシステム(外観)が3種類あります。
・ロレーシステム
下管中央付近の右サイドにあるフォークFリゾナンスキーが「開いた状態」で、Eキーを作動時に音程調整が可
能です。E、Dキーを同時に押したときにフォークFリゾナンスキーが完全に閉じます。このシステムはロレー
の他にラウビンが有名ですが、多くのメーカーが採用しています。
・フレンチシステム
オーボエと同じでフォークFリゾナンスキーは「閉まった状態」が基本です。そのため、下管はオーボエと同
じように調節します。リグータやマリゴ(ロレーシステムと選択可)はこのシステムを採用しています。
・ジャーマンシステム
古い楽器に見受けられるLowB(Bb)キー付の付いたロングベルで、フォークFリゾナンスキーが「開いた状態」
でE以下から閉じます。(実音C#の音抜け補正のため)調節方法はオーボエと変わりませんが、F#よりも高い
音(中音C#からFを除く)のときに音程や音抜けを若干調節することが出来ます。(フォークFリゾナンスネジ)
を締めるとフォークFのピッチが低めになり、全体の音色が暗く安定します。反対に緩めるとフォークFのピッ
チは高く全体に明るくなります。ジャーマンシステムはネジの数や位置がメーカー(ドイツ製品)によりばら
ばらで整理されていないため、各メーカー、機種ごとに調節ネジの役目を見極めてください。
*オーボエと異なるキーの特徴
EHはオーボエよりも5度低いF管なのでオーボエの1.5倍の長さの楽器です。そのため、人が吹くには長すぎて指
が届かないので、先端部分は金属を曲げたボーカルと呼ばれるチューブを差し込んで使用します。また、トーン
ホールの感覚もオーボエの約1.5倍なので左手人差し指で押さえるHキーは指で直接押さえることができません。
そのため、オーボエと異なり、2つのキーを連動させて押さえるようになっています。 オーボエではHキーの中央の小さな穴を指で押さえたり開けたりできましたが、EHは通常2つのキーを同時に押 さえ中音C#、D、Ebの際は1つのキーを押さえるシステムになっています。また、EHは最低音がオーボエよりも 半音少ないLowHが標準です。
LowBエクステンション(バレル)がオプションで装着できるモデルもあります。その理由は全長が約1mと長い
ため、女性や子供だと長すぎて最低音をLowBにすると全長が1mを超えてベル開口部が床に近すぎてしまう点と
低音域が低めになってしまうことから取り外しができるタイプが主流になっています。さらに重量は約1㎏と重
いために通常はストラップで首から吊って吹く楽器です。
*EH、オーボエダモーレの調節ネジはオーボエと位置や役目が異なる場合があります
上管
●:(Hキーネジ)左手人差し指で押さえるHキーの上側キーに付いているネジ
?:C#トリルのピッチを調節する役目とHighD運指時に指を離す(オープン)場合を優先する選択肢があります。 通常の運指であるハーフホールで吹く方はC#トリルと同じ調整になります
!:オーボエほど閉めすぎないで下さい。HighC#、HighDのピッチや音抜けは[LowC-Eネジ]で行います
●:[ハーフホールネジ]EH独特のネジで上級機種に付いています。
?:HighDの運指の際に(オープン)で吹けるように調節するネジです
!:吹きながら調節します。[Hネジ]でHキーを狭くする必要はありません
●:[G-Aリゾネジ]EH独特のネジでGキーとAリゾカップを調節します
?:Aリゾカップが強めになるように調節します
!:弱いと全体の鳴りが悪くなります。GキーとB&Cカップの関係もありますが、Aリゾカップの方を強くします
●:[Abネジ]EH独特のネジでAb(G#)の音程を調節するネジです
?:締めるとAbの音は低めに暗くなります。反対に緩めると高めで明るくなります
!:F#-G#ネジにAbカップが当たるとそれ以上ピッチを高く出来ません
Aのピッチもわずかに変化します。締めると低く緩めると高めになります
*調節の順番(基本はオーボエを参照してください)
・上管
① (Hキーネジ)をC#トリル用に開きを合わせます。ただし、この運指を用いる方は少なく、多くの方はHighDの 運指用に開きを合わせます。HighC#、HighDを指を離して(オープン)使用する場合は、Hキーがわずかに作動 するくらいに合わせます。ただし、中音C#、D、Ebの音抜けが若干悪くなります。HighC#~HighEbのピッチと 音抜けを調節する場合は、運指の違いで開き加減を変えばければなりません。 Hキーをハーフホール(Hキー中央の穴を開けた状態でHキーを押さえる)で吹く場合は1.0~1.5mm、オープン(Hキーを押さえない)で吹く場合は出来るだけ狭く(0.3mm)します。その際に、オーボエほど閉めすぎないで 下さい。Hキーの開きは運指によってさまざまで、HighD以上の音の運指でHキーをハーフホールで押える場合は 開きを大きく、オープンでHキーを押えない場合は開きを極力狭くします。 Hキーを狭く調節する場合はHighC#の音抜けが悪くなるので妥協点を探してください。 オートマチックやLowHリゾナンスキー付の楽器でHighEbを出す場合はG#キーを用いる運指は極力Hキーの開き を狭くします。尚、[ハーフホールネジ]付きの楽器[参照②]は(オープン)運指でも狭くする必要はありません HighC#、HighDのピッチや音抜けは[LowC-Eネジ]で行います。 Hキーをハーフホールで押える運指の場合はネジをしっかり締めてLowCキーを作動させたときにEキーはしっか り塞がっている状態にします。 Hキーをオープンで吹く場合は少し緩めてLowCキーを押えてもEキーが塞がらないように加減します
② [ハーフホールネジ]はHighDの運指の際に(オープン)で吹く方は狭く、ハーフホールで吹く方は必要ありませ ん。吹きながらちょうどよい開き(0.3㎜~0.6㎜)を探してください
③ [G-Aリゾネジ]でGキーとAリゾカップを調節します。まず、Gキーがしっかり塞がっていることをチェックし
ます。次にAリゾカップをチェックし、塞がりが強めになるように調節します。弱いと全体の鳴りが悪くなりま す
④ [Abネジ]は他のネジに比べ大きな変化はありませんが締めるとAbの音は低めに暗くなります。反対に緩めると 高めで明るくなります。F#-G#ネジにAbカップが当たるとそれ以上ピッチを高く出来ません。Aのピッチもわず かに変化します。締めると低く緩めると高めになります
下管
●:[F#リゾネジ]ロレーシステムのネジでF#のピッチと音色を変えます
?:締めると低く暗い音色になり、緩めると高く明るい音になりますが、同時にE、Dキーの調節が必要です
!:ピッチや音色は大きくは変えられません。[E-F#ネジ]と[D-F#ネジ]も同時に調節しなければなりません
●:[E-F#ネジ]EキーとF#リゾの調節ネジです
?:Eキーを押さえて調節しますがF#リゾカップが弱く塞がるように調節します。緩いとEから下が鳴り難くなり 締めすぎるとEキーを強く押さえないとEが鳴らなくなります
!:F#リゾカップがわずかに弱くなるよう調節します
[フォークFネジ]が締まりすぎていると[E-F#ネジ]の調節は難しく、その場合は[フォークFネジ]を緩めてから [E-F#ネジ]を調節し元に戻します。ロレーシステムは[F#リゾネジ]が関係し[D-F#ネジ]と同じにします
●:[D-F#ネジ]DキーとF#リゾの調節でフォークFが正しく出るように調節するネジです
?:Dキーを押さえて調節しますが緩いとフォークFがフォーカスしなくなるのでF#リゾカップが若干弱くします
!:Dキーを強く押さえないとなりにくい場合はF#リゾカップを少し弱く調整します
[E-F#ネジ]と同じ調整にします。ロレーシステムでは[F#リゾネジ]が関係します
●:[フォークFリゾネジ]ロレーシステムでフォークFのピッチ等を調節するネジです
?:E&DキーやLowCキーを押さえた際にフォークFリゾカップが軽く塞がるように調節するネジでもあります
!:このネジでフォークFカップの開きが調節しますが、その際に周辺のネジ調整が必要になります
[Eシーソーネジ][Dシーソーネジ][CフォークFリゾネジ]と関連して行わなければなりません。 たとえば[フォークFリゾネジ]を締めると他のネジは同程度緩めます。
●:[フォークFネジ]Eキ-とフォークFリゾカップとの調整をします
?:このネジが緩むと低音Dから下の音が出なくなり、閉まりすぎるとEキーを強く押さえなければなりません
!:[フォークFネジ]はEキーを押える右手中指の力加減をチェックしながら吹いて調節します。 [E-F#ネジ]が閉まっていると[フォークFネジ]の調節が難しく[E-F#ネジ][フォークFネジ]の順で調節します
●:[Eシーソーネジ]&[Dシーソーネジ]ロレーシステム
?:[Dシーソーネジ]を締め、[Eシーソーネジ]を同等に緩めるとフォークFリゾカップは開きが狭くなります。 ただし、わずかしか効果がないので動かさないほうが無難です
!:大きな影響はありません。[フォークFリゾネジ]と密接な関係にあります
●:[LowCフォークFリゾネジ]ロレーシステム
?:LowCキーを押したときにフォークFリゾカップが軽く塞がるように調節します
!:古い楽器の[C-Eネジ]はC#レバー下にあり、多くは[C-Eネジ]は[LowCフォークFリゾネジ]の位置にあります
[LowCフォークFリゾネジ]を締めるとフォークFリゾカップが強く閉まります。なるべく、軽く塞がるように します。なお、[LowCフォークFリゾネジ]と[C-Eネジ]が並んで間違えないようにしてください
●:[Eネジ]Dキーに付いているネジでフォークFリゾカップと連動しています
?:このネジを締めると全体に暗い音になりEとフォークFのピッチは低くなり、Aが安定しますが中音Fが不安定に なります。緩いと楽器の性格が明るく、EとフォークFのピッチが高くなりますが中音Fが安定します
!:緩めすぎ、締めすぎに注意してください。ロレーシステムはフォークFリゾカップには直接影響しません
●:[C-Eネジ]LowCキーの作動時にEキーの開きを調節するネジで、ロレーシステムはネジ位置が異なります
?:Eキーが閉まった状態に調節しますが、中央の小さな穴を塞いでいる場合は少し浮いた状態に調節します
!:ロレーシステムの場合、[LowCフォークFネジ]が隣にあるので間違えないで下さい。また古いロレーシステム の楽器はこのネジは通常の位置にありません。C#レバーの下あたりにあるネジが[C-Eネジ]です
HighC#、HighD、HighEbのピッチと音抜けを調節するために[C-Eネジ]を用います
*調節の順序(フォークFリゾカップがオーボエと同様に塞がっている楽器)
①[F#リゾネジ]と[E-F#ネジ]でEキ-を押さえてF#リゾカップが閉まるよう調節します。この2つのネジは同じ結
果がありますが[F#リゾネジ]を大きく締め[E-F#ネジ]を緩めるとF#のピッチがわずかに下がります。塞がりの
強さはF#カップを弱めにします。
②[D-F#ネジ]でDキ-を押さえF#リゾカップが閉まるよう調節します。この時、ネジを完全に緩めてもF#カップ
が強く閉まる場合は[F#リゾネジ]が締まりすぎなので①に戻ります。塞がりの関係は①と同様にします
③[フォークFネジ]でEキ-とフォークFリゾカップの調整をします。このネジが緩むと低音Dから下の音が出な
くなります。まず、Dキ-を押さえフォークFリゾカップを開けた状態にし、調整紙をフォークFリゾカップと
ホ-ル間に挟みEキ-を押さえチェックします。力加減はフォークFリゾカップが極軽く塞がるようにします。
強いとEキ-を強く押さえなければなりません
④ [Eネジ]でEのピッチと全体の音色の明るさを調節します。締めると暗くEとフォークFのピッチは低くなり、Aが 安定します。緩いと楽器の性格が明るく、EとフォークFのピッチが高くなります
*調節の順序(ロレーシステム。フォークFリゾカップがオープンになっている楽器)
① [F#リゾネジ]と[E-F#ネジ]でEキ-を押さえてF#リゾカップが閉まるよう調節します。この2つのネジは同じ
結果がありますが[F#リゾネジ]を大きく締め[E-F#ネジ]を緩めるとF#のピッチがわずかに下がります。塞がり
の強さはF#カップを弱めにします。
② [D-F#ネジ]でDキ-を押さえF#リゾカップが閉まるよう調節します。この時、ネジを完全に緩めてもF#カップ
が強く閉まる場合は[F#リゾネジ]が締まりすぎなので①に戻ります。塞がりの関係は①と同様にします
③ [LowCフォークFリゾネジ]でLowCキーを押しフォークFリゾカップが軽く塞がるように調節します。フォークF
リゾカップは軽く塞がる程度にしてください。ロレーは[LowCフォークFリゾネジ]と[C-Eネジ]は並んでいるの で注意してください。フォークFリゾカップの開き具合でフォークFやEのピッチや音抜けが変わります。ピッチ を上げるには[フォークFリゾネジ]を緩め[LowCフォークFリゾネジ]を締め、下げる場合は反対にします
④ [フォークFネジ]DキーとEキ-を作動させフォークFリゾカップが塞がっているかチェックします。合っていな い場合[フォークFネジ]で調整しますが③をやり直します。ピッチの問題で③の[LowCフォークFリゾネジ]を変え たくない場合[Eシーソーネジ]と[Dシーソーネジ]で両方を同程度動かし調節します。この2つのネジはフォーク Fリゾカップの開き調節に用いるネジで[Dシーソーネジ]を締める、又は緩める、[Eシーソーネジ]を同等に緩め る又は締めるとフォークFリゾカップの開きが変えられます。ただし効果はわずかです
⑤ [Eネジ]でDキーの開きを調節します。このネジを締めると全体に暗い音になりEのピッチは低くなり、Aが安
定しますが中音Fが不安定になります。緩いと楽器の性格が明るくEが高くなりますが中音Fが安定します
*低音域の調整は、主にトリルキーの連動になります。ただし、締めすぎると低音が出なくなります
●:[D#-Etrネジ]LowB(H)、Bbレバーの長いキーの中央側面に付いている[小ネジ]
?:締めすぎると左Ebが低く、全体的に音が出にくくなります。緩いとD#-Etrが出来なくなります。
!:ネジが硬くて動かいないことが多いので楽器に傷をつけないよう注意しましょう
●:[C-Eネジ]HighC#&Dの音抜けとピッチに関わるネジです
?:LowCキーを押さえたときEキーがしっかり塞がっていることが基本です。ただし、Hキー中央の穴を丸細くし て中音C#、Dの雑音を消した楽器や、HighDの運指で左手人差指をHキ-から離す場合はLowCキ-を押したと きにEキ-が開いた状態に調節します。開きが大きいほどHighC#&D音が抜けてピッチが高くなります。
!:締めすぎるとLowCから下の低い音が出なくなります
うまく出来ないときは[LowC-Ebtrネジ]が締まりすぎが原因で[LowC-Ebtrネジ]を半回転緩めておきます
●:[LowC-Ebtrネジ]LowC-Ebトリルのためのネジです
?:左Esキ-を作動させたままLowC#キ-を押してチェックします。ネジを緩めて吹きながら徐々に締めてちょう ど良いところで止めます。締めすぎるとLowCから下が出にくくなります。吹きながらの調節が安全です
!:古い楽器などEbカップのぐらつきの激しい楽器は調節が難しくなります
[LowCネジ]が閉まりすぎていると調節できません
●:[LowH-C#trネジ]LowHとLowC#のトリル調節用ネジです
?:LowHキ-を作動させたままでLowC#キ-を押してチェックします。この作業も吹きながら行います
!:締めすぎるとLowH&Bが出にくくなります
●:[Ebネジ]LowB&Ebの長いキーの無駄な動きをなくすネジです
?:閉まりすぎていなければ問題ありません。閉まりすぎだと遊びがなくEsキ-が浮いたままになります。 ただし、緩みすぎていると長いキーのぐらつき、左Ebのピッチが低くなります
!:楽器によって[LowH-Bネジ]の動きが異なるので注意してください
[LowH-Bネジ]を調節したときに[Ebネジ]とボディに取付けられているフラットスプリングとの間に遊びが必 要ですが、ない場合は[Ebネジ]を緩めて遊びを作ります。遊びがないとEbカップが開いたままになります
●:[LowB-Hネジ]LowBカップの動きをLowBレバーとLowHレバーの裏側の接合部を併用して調節します
●:[LowH-Bネジ]LowHカップの動きをベルの[LowBネジ]と合わせて調節します
?:この2つのネジはLowBカップを基本に合わせる[LowH-Bネジ]とLowHカップを基本に合わせる[LowB-Hネジ ]に分かれます。いずれもLowBを調節するのに変わりはありませんが動きが逆になります。方法は[LowB-Hネ ジ]の場合、締めるとLowBカップがLowHカップよりも速く閉まり(強く)、緩めると遅く閉まります(弱く )。これが[LowH-Bネジ]だとLowHカップが速く閉まり(強く)、緩めると遅く閉まります(弱く)
!:2つのネジの見分け方はLowHレバーとLowBレバーが裏側でキーが連動しているのが[LowB-Hネジ]です
ベルの[LowBネジ]との関連があり、[LowBネジ]は下管側のネジ下との隙間にわずかな遊びをつくります。遊
びが大きいとLowHカップとLowBカップの動きがバラバラになります
*調節の順序(オーボエと同じです)
① HighC#~HighEbのピッチと音抜けを[C-Eネジ]で調節します。通常はLowCレバーを作動させたときにEキーが 完全に閉まるのが基本です。Eキー中央の小さな穴が塞がっている場合や高音域のピッチや音抜けのために少し 浮かせて調節する場合があります。その場合は吹きながら調節してください。 [注意]ロレーは[LowCフォークFネジ]と間違えないで下さい。また古いロレーシステムはC#レバーの下あたりに あるネジが[C-Eネジ]です
② 右D#(Eb)と左D#(Eb)が同じピッチになるよう[D#-Etrネジ]で調節します。締めすぎるとDキーの開きが狭く
なり右Ebよりも左Ebの方が低く、全体的に音が出にくくなります。反対に緩いとD#-Etrが出来なくなります
③ 左Ebを作動させたままLowCとLowC#が出るよう[LowC-Ebtrネジ]を調節します。これは最初にネジを少し緩 めておいてから吹きながら徐々に締め良いところで止めます。締めすぎるとLowC以下が出なくなります
④ LowC#レバーを作動させたままLowHの音が出るように[LowH-C#trネジ]で調節します。 ③と同様に[LowH-C#trネジ]を緩め、吹きながら徐々にネジを締めて調節します。締めすぎるとLowH&Bが出に くくなります
⑤ LowB&Ebの長いキーの無駄な動きが大きい場合は、[Ebネジ]で調節します。これは閉まりすぎていなければ問
題ありませんが、閉まりすぎている(遊びがない)とEsキ-が浮きっぱなしになります。反対に、緩みすぎて
いると長いキーのぐらつきが大きく左手Ebレバーを作動させたEbのピッチが低くなります
*組み立てた状態での調整(上管&下管調整)(下管&ベル調整)
① F#キーを軽く押さえ上管の接続キーとの間に遊びがあることを確認します。遊びが無い又は大きい場合、上
管の[F#-B&C連絡ネジ]で隙間を調節します。締めると隙間は大きくB、Cのピッチが低くなり緩めるとB、Cキ-
が開いて高くなりますが緩めすぎると遊びがなくなります。古いロレーやラウビンは動きが反対になります
② F#の音が出るかチェックします。強く押さない出ない場合[F#-G#trネジ]を緩めます。出たらG#レバーを抑え
た状態でFisの音を出してください。G#のタンポが浮いた状態の場合は[F#-G#trネジ]を音が出るまで締めます
この時に正しい位置に組み立てていなかったりジョイント分がぐらついていると調節できません
③ 右C-Dtr調整を確認します。上管のC-Dtr接続キーと下管のキーとの間に隙間があるかチェックしてください。
隙間がないとtrキ-が動いた状態になり音が出なくなります。
④ LowBリゾカップの隙間調節をします。下管とベルを組んだ時に接続部のキーとキーの間に隙間があることを
確認してください。隙間がないとLowBリゾカップが開きっぱなしになります。隙間を作るにはキーを曲げなけ
ればならないので、コルクを削るか応急処置として剥がして調節します。
⑤ 最低音Bの場合のみの調節で、下管の一番長いキーのベル側に近いEbカップとC#カップの間で外側に大きく
飛び出たネジ[LowB-Hネジ]又は[LowH-Bネジ]を調節します。この2つのネジは見分けが付きませんが、このネ
ジを締めるとLowBカップ(またはLowHカップ)が早く塞がり、緩めると反対になります。 締めすぎるとLowBとEbレバー(またはLowHとEbレバー)の動きに遊びがなくなり、Ebレバーのカップが浮い た状態になるので注意が必要です。この部分はLowBキ-の隙間調整やLowH&Bの接続調整が関わってきます